料理=カードゲーム

2年前くらいまでは全く料理しなかったのですが、最近は料理を楽しんでます。


一人暮らし時はコンビニ弁当と外食で全部済ませていたので、家には調理器具が殆どありませんでした。炊飯器も鍋もフライパンも包丁もなく、コンロも元栓閉じたままという状況だったのですが。


自分で料理をするようになって理解したのは「料理=カードゲーム」ということ。手持ちのカード(食材)を元にして、如何にマシなコンボ(料理)を成立させるかというゲームですね。食材費や調理時間の効率、手持ちの食材のストックとかも考えて、ほどほどの味を目指すというルール。*1


その点でクックパッド最強ですね。「鶏モモ肉とさつまいも残ってるけど何作るか……」とか組み合わせを検索できるのが便利です。


で、料理を色々試行錯誤していて思ったのは、ある程度、調理の理屈がわかってくると面白いんだなーと。友人は「料理は科学ですよ」と教えてくれましたが。


分かってきて面白かった知見。

  • 野菜(例えばピーマンとか)は繊維に対してどっちに切るかで、食感が変わるとか(サラダなら縦に切ってシャキっと、柔らかく煮込むなら横に)
  • 下味を付けると、噛んだときに具材の中まで味がするとか
  • 玉ねぎと人参とかスープにするのに、そのままでもいいけど最初にバターで炒めておくと具を食べたときにしっかり甘みがするぞとか
  • スープとかにウインナーとかベーコン入れると肉の脂が出て良い感じになるなとか
  • 野菜を塩もみすると、水気が出てひきしまった味と食感になるとか
  • みりんに付けるとタンパク質は固くなるとか、逆に酒だと柔らかくなるらしいとか
  • ナスはめっちゃ油吸い込むから美味しいけどカロリー怖いとか
  • ニンニクは油で低温から炒めると香りが油に移るとか、そのときちょっと火が強いとすぐ焦げてしまうとか
  • 具材は切るときにサイズを揃えると、食感が均一になって食べてるときに一体感あるとか
  • 人参は熱通してもカサ減らないので意外と小さめに切らないとデカかったなとか
  • 火の通りにくい順に炒めないと火が通ってなかったり、逆に焦げちゃったりとか
  • 鶏肉とか豚肉に片栗粉まぶしてから焼くとツルッとした食感になるとか
  • ウェイパーとオイスターソース使っとくとなんでも中華味になって安定の味だなとか
  • 料理の味がパッとしないときは大抵塩分足せば調整できるとか
  • 和風なら顆粒だし、洋風なら顆粒コンソメ入れておけばだいたい何とかなるなとか

小さい頃は、千切り、短冊切り、乱切り、いちょう切りとか、なんでそんな色々あるんだ!とか思ってましたが、料理を繰り返している内に「ああ、他の食材と食感合わせるなら細長く切ったほうがいいよね」とか「この後煮るから、このくらいの大きさじゃないと火が通り過ぎちゃうよな」とか理屈が分かってきて、そうなると今度はレシピ見ないでも自分の判断で調理方法がだいたい分かってくるのがいいですね。


他にも、このレシピならこの野菜も一緒に入れても絶対美味しいだろうな、とかの判断が付くようになってきたり。


微妙な結果になることも多くありますが、自分が作る料理だと失敗してもまぁいいやという安心感があって失敗を繰り返せるので、こうやって経験値があがっていくのが楽しいですね。化学実験(もしくはアトリエシリーズ)やってる感じですよね。


あと、もし料理初心者の人がいたら、頭の中で何考えながら料理作ってるのかが分かる本とか読んだ方がコツが分かるかもって思った。よしながふみさんの『きのう何食べた?』は結構参考になってる気がする。レシピそのものじゃなくて、料理作るときの段取りとかそういう心情が書かれてるのがいい。


激旨料理が格安で出来たときはグッとガッツポーズしながら食事を楽しんでいます。
最近の発見は、鶏むね肉を茹でて放置するだけのサラダチキンを作ったら、茹で汁が極上の鶏スープになってて、こっちの方がメインなんじゃねーの美味すぎ案件でした。

*1:コスト制限を無視すれば、一から調味料とかハーブとか全て揃えてすごい料理も作れるけど、「何でこんなの買ったの」って怒られるパターンのやつ

楽団ロケッツ アーリーサマーコンサート2015 演奏してきた

1ヶ月以上経ってしまいましたが、これはきちんと書き残しておきたいので。私が所属するリコーダーアンサンブルサークル「楽団ロケッツ」の2回目の単独コンサートが先日、無事に終了しました。

楽団ロケッツ アーリーサマーコンサート2015
2015年7月12日(日)
13:30開場 14:00開演
浦和 ギャラリーTaiki


7月に入り、関東地方は約2週間連続の雨日だったのが、急激に最高気温30度超えの猛暑。会場の浦和は、33度くらいまで上がったようです。本番中のMCでも話しましたが、「アーリー」を通り越して完全に「サマーコンサート」でした。ホントに暑い中のご来場ありがとうございました。


今回の会場は、建築会社(?)のショールームと事務所を兼ねたような建物のギャラリースペースを借りての開催。当初は、小ホール的な音楽ホールが取れたら良いねと話していたのですが、適切な座席数の空き会場が見当たらず。結果的に、他のリコーダーの発表会で利用実績があるとのことで、この会場をお借りました。


あまり音響は期待していなかったのですが、当日音出しをしてみたら素晴らしい感じにリバーブが掛かって凄く吹きやすい会場でしたね! 当日、音出しをしてみたときのメンバーのテンションの上がり方は凄かったです。「やべぇ、俺達上手くなったように感じる!w」とか。


前回2011年のレイニーコンサートでは、座席が隣の肩と触れるくらいにギュウギュウでお客さんに申し訳なかったのですが、今回は客席にも余裕があり、かつアットホームな距離感でできたので、会場としてはベストに近かったです。


会場の設営を段取りどおりに進めて、当日リハーサル。音の響きが良すぎて自分で聴き惚れたり、楽しく吹こうとするあまり、今までの練習ではしたことのないミスがポロポロと出てしまったので、気を引き締めるように。


今回の演奏会は、前回と全体の尺や曲数はあまり変わらなかったのですが……、と思って確認してみたらそんなことありませんでしたw 前回の曲数は11曲+αだったのが、今回は16曲。「難曲」といえる曲数も前回は2〜3曲に対して今回は7曲くらい? ……そりゃあらためて考えれば練習が大変だったわけだ。


楽団ロケッツはもともと技術志向の楽団ではありませんが(とはいえ演奏会をする以上、手抜きはしないというスタンス)、それでも前回の演奏会から4年間。毎月一回の練習をコツコツと積み重ねた結果、リコーダーアンサンブルサークルとして胸を張れるレベルにはなったんじゃないかなと思います。



今回、自分の中で一番気合が入っていたのは、アニメ「英國戀物語エマ」からの2曲、『Silhouette of a Breeze』と『Menuet for EMMA』でした。
当初、楽団ロケッツで演奏するにはやや難易度が高過ぎるかと思ったのですが、曲自体のエレガントな美しさももちろん、プロリコーダー奏者の金子健治氏による巧みな編曲も素晴らしくて、挑んでみたかったんですよね。練習はやっぱり大変でしたが、本番ではかなりの完成度まで持っていけたのではと思います。楽団ロケッツの技術面で、また一つ大きな壁を超えた実感がある2曲でした。


そうそう、「T-SQUARE」の2曲ではシェイカーデビューもしました。リコーダーだけの演奏ではポップス曲のリズム感が出しにくいので、それを補うためですね。8ビートを刻むだけではなくて、決めとなるリズムのところをどう鳴らすかなど結構練習しました。パーカッション経験が特に無かったのでテンポキープするだけでもなかなか大変でしたね。本職のパーカッショニストさん達は凄いと改めて実感。


多くの知り合いにも聴きに来て頂けましたし、本当に楽しくて充実の演奏会でした。多少は緊張もしましたが、アットホームな感じの空気で司会も楽しくできました。


次回は楽団ロケッツ10周年を記念して何かやりたいねという話も出ていますが、さてさてどうなることやら。また何か演奏会をやることになったら告知しますので、ぜひまたリコーダーの響きを聴きに来て頂ければと思います。

視野がチカチカ見えにくくなる「閃輝暗点」


閃輝暗点」 ←読めますか?


先日、PCでプログラムの仕事をしていたところ、突然、注視している箇所のソースコードの文字がボヤけて見難くなりました。


最初はメガネの汚れかと思ったのですが、拭いてみても変わらず。


強い光を直視してしまった後のようなチカチカした光が視野に残っています。しかし、直前に照明などの強い光を見た記憶も特に無く、試しに目を洗ってみるも効果無し。


疲れによる目のかすみかな? と思いましたが、今までこんなチカチカする視野の見えなくなり方はなったことがありません。


飛蚊症」とか「網膜剥離」みたいな単語が脳裏をよぎって怖くなりました……。



さすがに心配になり、何かヒントはないかと思い「視野 チカチカ 見えなく」みたいなキーワードでググってみる……。


……と、検索結果の中に、「ジグザグ光線のような幾何学模様が稲妻のようにチカチカしながら……」という文章を見つけて、あっ、まさにこれだ! と。


確かに、強い光を見てしまったときの残像とは異なり、ジグザグしたような光があるように思えました。


どうやら、これは「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状のよう。

閃輝暗点 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%83%E8%BC%9D%E6%9A%97%E7%82%B9


これは眼球の異常ではなく、偏頭痛の前兆としてよくある症状のようです。数十分で徐々に視野の外に出て行く、と書かれている症状もまさにその通りでした。



皆さんはこの症状、ご存知でしたか? 偏頭痛持ちの方などはもしかしたら知っているのかもしれません。


仕事で目を酷使していて、首筋、肩の凝りは常に発生しているという状況なので、視野神経(後頭部)の血流というのは発生原因としても納得のいくものです。


試しに後頭部のマッサージをしてみたら、過去最強レベルに凝り固まっている感じでしたし。


そして今まで偏頭痛というのは感じたことが無かったのですが、確かにその後、頭がグワングワンする感じになりました。(ので横になって安静にしてました)



しかし、主観的にしか把握できないはずの視野の症状が、まさかドンピシャで検索結果に出てくるとは思っていませんでしたね。


しかも、症状に名前が付いていて、症状の出方(見え方)もだいたい共通というのが凄い……。


ネットが無かったら、こんな症状名に調べ当たることも出来ませんでしたし、「謎の怖い症状」のままだったと思うので、まったくありがたい時代になったものです。


これで、頭痛を伴わない場合は稀に脳梗塞などの脳の血管の病気である可能性もあるらしいので一応油断しないようにしますが、しっかりした生活リズムと、肩こり等を避けるための運動とかはやっぱり大事ですね。

私の最近のTwitterとの付き合い方

 私は普段、Twitterのクライアントとしてtweenを使っていますが、数ヶ月前から、自分の常時見るTLにはRTを表示しない試みをしてみています。


 RT記事を見に行くのは時間つぶしには最高ですが、面白いけどどうも時間を吸い取られがちなので。(RTが気になるときは関連発言を開くか、RTタブを見てます)


 あとはRTが「腹を立てる連鎖」状態になってることがよくあって、回ってきた記事を読んで私も一緒にまた腹を立てる、という事態になることも……。


 腹立ったときは皆と分かち合わないと溜飲が下がらないというのは分かりますけど。私もたまにやる。


 ネットのせいで色んな話題が目に飛び込んできますが、本来自分の関わりの無い人が何か変なこと言ってるのは聞き流せばいい……、というかそもそも目に入ってこない話題のはず。そういうRTをシャットアウトする効果もあります。


 それと、自分の主義主張を表明するのに安易にRTに頼るのは控えるようになりました。(RTしないわけでは無い)


 付和雷同……とはちょっと違うかもしれませんが、
・政治の話題をRTしては「そーだそーだ」
・マナーの話題をRTしては「そーだそーだ」
・労働の話題をRTしては「そーだそーだ」


 ……とやるのではなくて、自分の言葉で語るほうがいいと思うし、そういう発言を見るほうが好みです。


 そんな最近のTwitterとの付き合い方でした。
 誤解の無いように断っときますと、私はそういうのが好きってだけで、皆さんも、という話じゃないです。

「エンディング」をもう一度

 「クリア」の無いオンラインゲームやソーシャルゲーム全盛の時代。コンソールゲーム機でも「無限ダンジョン」「図鑑埋め」など、いつまでも遊べるやりこみ要素が満載の時代。

 一つのタイトルを売り切りで稼いでまた次の(当たるか分からない)次回作に賭けるのではなく、一つのタイトルがヒットしたときにそこで継続的に収益を上げるというゲームビジネスモデル全盛の時代。

 そんな時代だからこそ、今、明確な「クリア」「エンディング」のあるゲームというのを欲している気がする。


 やりこみ要素というのは、ときにユーザーへの強迫観念として、ゲームから遠ざけてしまう効果があると考えている。

 FF4でカトブレパスを取り逃したとき、FF6で某キャラを助けなかったとき、必須な要素ではないのに、セーブデータを消して最初からやり直すかどうか悩んだ。

 遊べる時間がたくさんある場合はそれでも良いけど、子供の頃ほどにはゲームに時間が掛けられない中、図鑑をコンプリートしたときの達成感を味わうことはもはや無く、達成できない状態の穴あきの図鑑を見せられるだけになる。


 私にとっては、そういう要素はもうお腹いっぱいになっている気がする*1。明確に用意された、普通に遊んでいれば誰でも到達可能で、達成感の得られるゴール。つまり「クリア」があるゲームがやりたい。


 クリアまで50時間とか100時間とかは要らない。15時間とか20時間くらいで良い。ゲームを1日に1時間遊び、数週間くらいで気持良くゲームの全ての要素を遊びつくしエンディングを迎える。達成感とともに数日の間ゲームの余韻をしばらく味わい、そしてまた次のゲームを物色する。*2


 クリアが無いゲームが世の中に溢れかえっている今だからこそ、その反動として「クリアのあるゲーム」がまた見直される時代が来るんじゃないだろうか。

*1:といいつつ、最近はもっぱら「アイドルマスターシンデレラガールズ」を日々の合間に遊んでいるのだけど

*2:逆転裁判」シリーズ辺りはボリューム感も達成感もちょうど良い

シンデレラガールズ1stライブを明日に控えて

 フィギュアスケートのことを書いているかと思うと、急にアイマスのことを書き出すBlogです。


 来たる、2014年4月5-6日にアイドルマスターシンデレラガールズの、初の単独1stライブが開催されますね。私は日曜日参戦です。幸運にも過去最高レベルの良席を引き当ててしまったので、今からワクワクテカカが止まりません。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!
http://idolmaster.jp/event/cinderella1st.php


 2011年、Mobageでこのタイトルが告知されたときは、「こんなのはアイマスとは認めない。なんかギャルとかいるし」という感想だったんですよね。当時の私にとっては、このタイトルは本家からは外れた「亜流」だ、という認識でした。

 それから周りの友達がやっている話や、ネット上での動向を見ている内に興味を持ち始めて私もゲームを開始し、まぁ、今に至るまでどっぷりハマってしまっているわけですが。(課金は微課金ですよ)


 カードを育ててセリフを見ている内にキャラの性格や内面が段々と分かってきて、キャラクターの新規カード追加の度に喜び、絵柄を楽しみ、魅力を再発見していく楽しみ。

 そしてサービスイン当初には考えられていたのか、いなかったのか、キャラに声がついてのCD展開。ラジオ番組のスタート。CD展開と併せてのミニイベント。本家アイマス8thライブへのゲスト参加。新宿アルタ前でのアニメーションPVの発表と新展開の予告。先日のさいたまスーパーアリーナでの、本家アイマス組、GREEのミリオンライブ組とのメインを張っての共演。そしてついに迎える舞浜アンフィシアターでの単独1stライブ。

 まさにシンデレラが階段を駆け上がるような、本当に類まれなるストーリーを「プロデューサー」目線で一緒に追いかけている感覚。本家アイマスでも味わったこの感覚を、今もう一度味わっているんですよね。


 本家アイマスでは私は3rdライブが初参加だったので、1stライブ当時のことは伝聞でしか知りません。ですが、当時はもっと今よりも何もわからない手探りの中での開催だったことでしょう。

 本家アイマスが本当に「無」から道を切り開いてきたのに対して、シンデレラガールズは後発のコンテンツですから、同じ1stライブといっても全く違うものだとは思います。メンバーの半数くらいは、本家8thライブや、先日のSSAですでに大舞台の経験がありますし、周りのスタッフも経験を積んでいるでしょう。


 でも、どんなアーティストでもどんなグループでも、その「単独1stライブ」というのは、きっと大切な大切なものなのだと思います。


 そのステージを、幸運にも会場で応援することの出来る喜び。Pとして全力で応援してこようと思います。


 素敵なステージになりますように。

「公平なジャッジを」という主張を見かけたフィギュアスケートファンの方々へ


 もう目の前にソチ五輪がやってきました。
 私は特にフィギュアスケートが好きなので、浅田真央選手を始めとして日本の各選手、また海外の選手達がどのような演技を見せてくれるのか今から楽しみですね。


 さて、昨年末辺りから、フィギュアスケート関連のTwitterハッシュタグなどで、声高に「公平なジャッジを」と繰り返している方々がいます。
 Twitterで話題を追っていれば、これらの話題は嫌でも目に入ってきますが、それらの殆どは、見る限りキム・ヨナ選手への批判の類です。*1
 一見もっともらしいことを言っていることもあるので、中には信じてしまう人もいるのかもしれません。


 ですが、彼らの言うことは(全部とは言いませんが)その殆どが説得力に欠けていると私は感じています。率直に言えばこのような類の言論に辟易しています。
 そこでこういった主張を見かけた方々へのメッセージとしてこの記事を書いてみました。


#これらの主張をしている当人には私が何を言おうと通じないと思うので、そこは見解の相違としておきましょう。本記事は、こういう主張をTwitter上で見かけた人へ向けたものです。


#また、中には本当に専門的な目を持っていて、本当に公平な視点で主張をしている人もいるのかもしれません。本記事はそういう方の主張まで批判するものではありません。


静止画による印象操作

 柔軟性が無いとか、シットスピンが腰高だとか、ポーズが汚いとか静止画で比較画像を挙げている人が多くいるのですが、もちろん画像の作成者が恣意的に、特定選手が悪く見えるような画像をチョイスして並べています。

 フィギュアスケートは柔軟性を競う軟体選手権ではありませんからそこだけを強調して比較している意味が分かりませんし、他のポーズについても同様です。
 シットスピンについては、画像のどのタイミングを切り抜いてくるか選べば、どの選手を悪く見せるか印象操作なんて自由自在でしょう。
 よって、この手の静止画による主張には公平な視点は全く無いと断言しても差し支えないでしょう。


いわゆる「分度器動画」

 分度器動画と呼ばれているジャンプの回転角度に線を引いて回転が不足していると指摘している動画もあるのですが、動画中の1コマを止めて直線を引く向きなんて、ある程度編集者の思いのままです。(横からのカメラで正確な角度なんて分かりませんよね)
 どう見ても公平な検証目的で作られてるとは思えない動画しか私は見かけたことがありません。


そもそも単なるバッシングしかしてない人

 「公平なジャッジを」と声高に主張している人達のブログなどを見に行ってみると、とにかく汚い言葉で誹謗中傷・バッシングが繰り広げられてるなんてこともあります。そういうのはもう問題外なわけです。(どの口が「公平」を言うのか、と)
 もし本当に公平な活動を推進したいのであれば、そういうことを書いてる人は排除した方が良いと思うのですが……、そういう人のツイートがRTされまくってるのでお仲間には支持されているようです。
 言うまでもありませんが、全く説得力がありません。


(※単に選手が好きか嫌いかという話であれば個人の自由なので、それは好きに語ればいいと思いますが、それをルールが公正でないとか、ジャッジが不正だなどとの話に繋げて欲しくはないです)


ルールの無理解や見る目の無さ

 フィギュアスケートのジャッジは、当たり前ですが国際大会ともなれば訓練を受けて経験も積み、その中でも実績が認められた人達が行なっているわけです。私たち素人と違って見る目を持った「プロ」なわけです。


 ですが、「ジャッジは間違っている」とする側の主張が、単なるルールの無理解であったり、単に見る目が無いだけということも多いです。


いくつかよく見かける例を挙げておきます。

  • 「こんなヘロヘロステップがLv4なんておかしい」

 ステップのレベル認定は、ヘロヘロだろうがキビキビだろうが要件を満たせば誰でもLv4です。(ついでに言えば、見る人が見ればヘロヘロなわけでは無かったりします)
 ステップというのは素人には分かりにくい技術があり、それを選手達はこなしています。派手に動いてるのが良いというわけではなかったりします。
 (ということが私は最近勉強してきて分かってきました。ステップに含まれているのターン、ステップの種類を分析した動画とか面白いですよ)

  • 「こんな遅いスピンがLv4なんておかしい」

 スピンについても、要件を満たせばどんなスピンであってもLv4です。(ついでに言えば、別に遅くなかったりします)

  • 「開始が明確でないステップだ」

 見る人が見ればこれ以上無いくらい明確なのですが、不正があると主張したい人にはそうは見えないらしいです。

  • 「漕ぎが多い」

 無駄なフォア/バッククロスが多くスピードが伸びないのであれば確かにSkating Skillの項目での評価が悪くなるはずですが、単にプログラム中の実施回数をカウントしても意味がありません。
(※こちらの方のまとめが参考になります>http://togetter.com/li/624490


 これらの主張の殆どは特定選手だけが(言うまでもなくキムヨナ選手のことですが)あたかも劣っているかのような文脈で話されていることが多いのですが、全選手に公平、客観的な視点で検証されているものはあまり見かけません。
 「公平なジャッジを」と主張するのであれば、一部の選手だけへの言及でなく、公平で客観的な検証が為されるはずなのですが。



 フィギュアスケートというスポーツには、ジャンプだけではなく特有の様々な技術があります。
 それらは素人にはすぐには分からないことも多いですが、ルールや採点法を勉強して見る目を養っていくことで、選手達の演技のどういう部分が凄いのか段々と分かってくるわけです。
 また当然、コーチや選手やジャッジはそういうことが分かっていて、その上で競技をしているわけです。


 が、それを飛び越えて「シロウトの印象」でジャッジを批判している人が溢れかえっているというのが現状です。
 フィギュアスケートを見る「プロ」であるジャッジのことを不正だと断定する割にその前提知識が足りないのでは、全く説得力が無いわけです。


そもそもハナから根拠無しで批判してる

 「公平なジャッジがされていない」「不正が行われている」と主張するのは、ある意味ではジャッジに対して犯罪の告発をするに近い重大な行為とも言えるでしょう。
 そういう主張をするのであれば相当な事前調査と、納得させるだけの証拠があるに違いません。
 そんなことを声高に主張している人のブログを見てみたらある日の記事タイトルにはこう書いてありました。


 「キム・ヨナの不正の証拠を集めよう!」


 え、「証拠を集めよう」って……? それまで根拠ないまま批判をしてたということですよね。これだけでも(少なくともこの人に関しては)相当信ぴょう性の薄い主張だということが分かるかと思います。


「Fair Judgement」のバナー(横断幕)について

 先のフィギュアスケートの大会で、『「Fair Judgement」というバナーを掲出しようとしたら会場係員に下げさせられた。フェアなジャッジをしているんだったらやましいことなんてないんだから、下げさせるというのはやましいことをしている証拠だ!』
 と言っている方が多数いました。


 そもそもバナーは、選手を応援したいファンの気持ちに応えるために大会運営側が抽選を行い、限りあるスペースを割り振って掲出を許可しているものです。大会のサイトにも「出場選手の応援目的に限る」と明記されています。


 それをルール違反して関係無いバナーを掲出してたら下げさせられるのは当たり前でしょう。ルール違反をしておいて「下げさせるのはやましいからだ!」って、それは小学生レベルのイチャモンでしか無いです。


 主張をするのは自由として、それは他のファンや選手、大会関係者などに迷惑にならない手段でお願いしたいところですし、もし迷惑行為をするのであれば非難されるべきでしょう。


フィギュアスケート陰謀論を本で出版している方の議論

 だいぶ以前から陰謀論を主張している方がいるのですが、フィギュアスケートに詳しい方とのTwitter上の議論で完全に論破されています。(と少なくとも私には見えます)

2011世界選手権女子SP。キム・ヨナ選手の3Lzの判定をめぐって
http://togetter.com/li/605881


 この方は「フィギュアスケートには不正がある」ということを主張されていたのですが、何のことはないフィギュアスケートの基本技を見る目が無かっただけで、そのことを指摘されたらその後の議論はしどろもどろに。

 今まで陰謀論を主張し続けてきて、本まで出版して(出版社は話題性さえあれば何でもいいのでしょう)、結局のところジャッジや選手達にとっては当たり前である知識も持ち合わせていなかった、と。


おわりに

 色々と書いてきましたが、「公平なジャッジを」というTwitter上でよく見かける主張には、このように説得力を欠くものが非常に多いというのが私の結論です。

  • きちんと実施されている技にも劣っているかのような文句を付ける。
  • ルールやジャッジシステムを理解しないまま文句を付ける。
  • 論理性や説得力に欠ける主張を繰り返す。
  • 誹謗中傷をする。

 こういった言動は、フィギュアスケートファンの見る目を曇らせますし、ルールやジャッジシステムの理解の妨げになると感じています。冷静なフィギュアスケートファンの皆さんはこういった主張に流されることが無いよう願っています。


余談:ジャッジシステムの公平性

 また、「採点に不正があるの?無いの?」と気になっている方は、4年前のバンクーバー五輪のときに私が書いた記事ですが、宜しければこちらも併せてお読み下さい。私が今言いたいことは4年前に殆ど書いてしまっていたという。

フィギュアスケートの採点に結局不正はあったのか? 〜陰謀論に心配になってしまった方へ
http://d.hatena.ne.jp/Sinon/20101020


 私はフィギュアスケートのルールやジャッジシステムが完全無欠のものであるとまでは思いませんが、今まで国際大会でおかしな運用がされていると感じたことは殆どありません。
(※各国の国内大会はまた別で、これはちょっと通らないだろう……という激甘判定が行われていることもあります)


 GOEやPCSは9ヶ国のジャッジの平均値によって採点されますし、テクニカルスペシャリストの判定は問題があれば、残りの2名がレビューを要請でき、多数決で決まるシステムになっています。

 こういったジャッジの仕事の詳細まではTVでは解説されませんが、詳しい人の話を聞いて勉強すればするほど、なるほど、上手く公平性・客観性を担保するシステムになっているなと感じます。


 私はジャッジを信頼してソチ五輪での演技を観戦したいと思います。

*1:特定選手のことを言ってるのではない、という主張も見かけますが、大体はそうであると言って差し支えないでしょう