同人音楽をちょっとだけ語る。(その2)

前回(http://d.hatena.ne.jp/Sinon/20070219)の続き。


 PopKornの同人活動のスタンスとして「パッケージにもこだわる」というものがあります。*1


 同人音楽CDをつくっている方で「音楽という形のない作品を、何故わざわざCDにするのか」と考えたことのある人はいますでしょうか。多分、少ないのではないかと思います。


 単に自分の音楽を多くの人に聴いて貰いたいという動機であれば、今の世の中、ネット上で配布すれば良いのではないのでしょうか? そうすれば原価も要らないですし、リスナさんもわざわざ即売会会場に足を運ぶ必要がありません。何故、わざわざ面倒な製作作業を経てまでCDをつくるのでしょうか?*2


 これに対する私の答えは「音楽作品を現実のモノとして形にしたいから」というものです。私のセンスが旧式なのか、例えばネット上で「あなたの曲は何百件、何千件ものダウンロードがありました。おめでとう!」と言われても、それだけでは創作物を世に送り出した実感があまり得られません。
 やはり、音楽が焼きこまれた銀盤をプラスティックのケースに収めてダンボール一杯に詰め込んだときの現実感や、それを即売会会場まで運んでいって直接相手に渡すというやり取りが、私の創作欲を満たすためには必要なのです。
 ネット上で買い物を済ませてしまうバーチャル(死語?)全盛の時代ですが、その反動なのか、こと創作に関しては「モノ」に対する未練というか執着が残っているんですよね。
 音楽に限らず漫画でもそうだと思いますが、創作活動をしたことのある人は、完成したCDや刷り上ったオフセット本を自分の両手で握り締め、確かな重みを感じたときの何ともいえない感動には覚えがあるのではないでしょうか。


 なので、PopKornの音楽CDはメディアに書き込まれた音楽データだけがあればいいというものではなく、現実世界に形を成しているブックレットやオビ、レーベル面やケースなどがあって、やっと一つの創作物として完成なのです。
 ですから、音楽以外のパッケージ部分にも出来るだけの努力をするというのが私の創作活動のスタンスです。(そして、それが実現出来るのは、イラストやデザイン、パッケージングなどを手伝ってくれる仲間や協力者の方々の存在があるからです。本当に感謝しています)


(書きたいことが色々沸いてきたので、たぶんまだまだ続きます)

*1:もちろん現実的な問題でパッケージに時間を掛けられないときは、それなりに手を抜けるところは抜いたりもしますが……。

*2:非常に現実的な理由として「CDの形にしないと売れない」というのもあるでしょう。ここを語りだすとまた深くなるのでとりあえず保留です