ジャズ×ゲーム音楽「Colors of Scenery JAZZ ORCHESTRA」
先日行われた2083webの3周年記念ライブ、「2083WEB 3rdAnniversaryLive“Thanks!”」聴いてきました。
(http://www.2083.jp/3rdanniversary/live/)
世界樹4の『SQ4 F.O.E band』バンドに、坂本英城さん率いる『TEKARU』、出演した3バンドとも最高に良くて、どれか一つのバンドだけでもお釣りが来るんじゃないのという濃厚なライブでした。
で、他のバンドも凄く良かったのですが、そこの感想は他サイトに譲るとしまして、ここではもう一つのバンドにスポットを当てて。今日のライブでデビューした『Colors of Scenery JAZZ ORCHESTRA』、ゲーム音楽の演奏界隈において革命的だと感じました。
ジャズという音楽ジャンルはこれだけ世の中に普及していて、珍しいものではありません。
ゲーム音楽の演奏会も、今や珍しいものではなくなりましたね。毎月どこかで演奏会が開催されています。
だというのに、「ジャズ×ゲーム音楽」という組み合わせは今までに無かった。
ありそうだけどありませんでした。(私が知らないだけでしたら申し訳ない)
この「CoS」は純粋な(?)ジャズというよりはもうちょっとポップなテイストの編成で、A.Sax、T.Sax、Tp.、Tbのホーン・セクションに、ドラム、ベース、キーボード。そしてちょっと異色な楽器としてクラリネットとファゴットが加わっています。*1
そして女性1,男性2のボーカリストを加えて、歌モノもいけるバンドとなっています。
今まで、ジャズとゲーム音楽の組み合わせがこの界隈になかなか現れなかった理由として、おそらく「敷居が高い」ということが上げられるでしょう。ここで言う「敷居」というのはリスナーにとっての、ではありません。
一つは奏者。
既存の吹奏楽バンドでジャズをやろうと思っても、なかなかジャズのノリというのは出せるものではありません。ポップスやクラシックの曲に比べて、リズムのキメが非常にシビアなため、この鋭いサウンドは生半可な力量のメンバーではサマにならなかったりします。
そのため、卓越したソロの能力を持ったプレーヤーを集める必要があります。
そして編曲。
ジャズのスタンダード・ナンバーを演るならともかく、ゲーム音楽のジャズ譜面というのは世の中に殆ど存在していません。(ジャズに限らず殆ど存在していませんが…)
そして、ジャズのアレンジが出来て譜面が書ける人材というのも、なかなかいないのではないでしょうか。その点「CoS」ではマツさんの編曲スキルとセンスが素晴らしい。
プレーヤーと編曲の才能が集結し、上記の2点を乗り越えることで、初めてこのスタイルのバンドが生まれ得たのではないかな、と。これはゲーム音楽の演奏文化が人口と内容の両面で成熟したからとも言えるかも知れません。
「CoS」の演奏は「この曲がこういうサウンドに変わるのか!」と、今までにない予想外なサウンドが飛び出してきて、新鮮な驚きでゲーム音楽を楽しめます。
ハイスピードで疾走感溢れるFF6メドレー。クラリネットソロから始まる『ティナのテーマ』や、ハイスピードのファゴットソロによる『魔導士ケフカ』など、既存のジャズ・バンドの枠組みでは見られない楽器の使い方もユニーク。
FF8『Eyes On Me』は、まさかの男性ボーカル。楽器編成を少なく絞ったシンプルな構成で、シブく聴かせてくれました。
『塊オンザスイング』はボーカリスト達の煽り方が上手くてとにかく聴いている方も楽しい!自然と笑顔になっちゃいます。
FF3の演奏してみたコンテストでも入賞した『悠久の風』*2も実にスタイリッシュ。イントロの演奏に入ってから幕がオープンしたのですが、バックライトに浮かび上がるボーカリスト3人の決めポーズがカッコよかったですw ちょっとウケたw
今まで、ゲーム音楽の吹奏楽、オーケストラ、あるいはロックバンドなどの演奏を普段聴いてきた人達も、このジャズサウンドはゲーム音楽の新たなシーンを感じると思います。次回の演奏会があったら是非聴きに行ってみてください。
ジャズ×ゲーム音楽『Colors of Scenery JAZZ ORCHESTRA』。
イチ推しです。
*1:この辺りは元はオーケストラ畑にいたメンバーが中心だからでしょう。と言ってもコスモスカイオーケストラはオケというには特殊ですが