コールクリスタルマナさんの演奏会で歌声を堪能してきた。


 Chor Crystal Mana(コール・クリスタル・マナ、以下CCM)さんの演奏会を聴きに行ってきました。
 今回の感想は気合入れたので長文ですよ。

「Chor Crystal Mana 初回限定版 〜大合唱!ゲーム音楽伝説〜」
■日時:2013年12月7日(土) 13:00開場 13:30開演
■場所:江東区亀戸文化センター カメリアホール
http://www.chorcrystalmana.net/concert.html


 CCMさんはゲーム音楽を合唱する合唱団。ゲーム音楽楽団は今でこそ増えましたが、その中で「合唱」というスタイルで活動している団体は珍しいですね。


 いやぁ……、本当に感動しました……。
 人の声ってこんなにも強く心を揺さぶるんだな、と。
 演奏会を通して、「ゲーム音楽が大好きだ」という気持ち。「歌うことが大好きだ」という気持ち。そして「人を楽しませることが大好きだ」という気持ちが、それはもう溢れんばかりに伝わってきました。

■第1部

1-1. 時の回廊 (from クロノトリガー)

 演奏会の1曲目は、舞台上にも客席にも緊張感が張り詰めているものです。合唱というスタイルを初めて聴くお客さんに取っては尚更、「一体どんな音が出てくるんだろう」と固唾を呑んでいたことでしょう。
 ピアノのアルペジオに乗って、滑りだすようにホールに響きはじめるハーモニー。時の回廊の神秘的な展開。各パートに受け継がれていくメロディ。途中から『クロノ・トリガー』のメロディが被さってくる展開。歌声って美しいなと感じさせる曲でした。

1-2. THE World of MOTHER 〜MOTHERメドレー〜 (from MOTHER)

 2曲目はMOTHERメドレー。演奏会の2曲目から早くも感動で殺しにかかってきますね……。
 MOTHERと言うとやはり「4starオーケストラ」での最終日アンコールを思い出します。あのときにコーラスに乗っていたのもCCMさんでしたね。『POLLYANNA』を聞くと泣きそうになります。
 おにいさん戦(?)からは指揮者さんのノリも良くなり、奏者も緊張がほぐれてきた感があります。
 『EIGHT MELODIES』の出だしは、どこの演奏でも各楽器のソロから行われるのが通例となっていますが、これが歌声でのソロというのがまた格別で一番の涙腺崩壊ポイントでした。震えがきましたよ。


最後は客席の手拍子も入って素晴らしい演奏会でした。
〜Fin〜


(;∀;)<イイ演奏会ダッタナー


と思ってしまうクライマックスっぷりでした。……まだ2曲目ですけどね(笑)

1-3. 仲間を求めて (from Final Fantasy VI)

 この曲の前に舞台進行上のトラブルが。司会者さんが曲順を間違えて舞台上に出てきてしまい、指揮者さんが(もう一曲あります…!)と下げさせる展開。これには観客も思わず苦笑w
 その後、指揮者さんが改めて客席に向かって大仰にお辞儀をしなおして会場の空気を仕切り直したのですが、この判断は素晴らしかったですね。これで微妙な空気が払拭されました。
 結果的にはこのアクシデントで観客も奏者も肩の力が抜けた気がするので、結果オーライだったんじゃないかなと……。


 『仲間を求めて』の曲は、とても歌声に力が乗っていたような気がします。
 名曲だからというのもありますが、……もしかするとパンフレットの解説や、最後の代表さんの挨拶にあったとおり、CCMさんの成り立ちから今までの歴史そのものがまさに「仲間を求めて」だったからじゃないのかな……と思っちゃいました。

1-4. The Unsung War (from ACE COMBAT 5)

 「ACE COMBAT 5」は未プレイですが、とにかく引きこまれました……。
 映画音楽のような宗教音楽のような四声による荘厳な響き。男声の重厚さ力強さと、突き抜けるようなソプラノ。コーラスの技術面はあまり分かりませんが相当難しい曲だったのでは。
 第一部を締めくくるのにふさわしい大曲だったと思います。
 今後、この曲をやりたいと思う楽団さん出てくるんじゃないかなーと思います。


■第2部

 さて、第2部はパンフレットの曲目を見た時点で、何かやってくるならここしかないというラインナップ。
 コスモスカイさんとかリトルジャックさんでしかCCMを知らない人は面喰らうかもしれませんが、「体験版」を聴きに行っていた方はCCMの真の姿がこれだということを知っていることでしょう(笑)


 黄色、青、緑、オレンジ……etc.カラフルなTシャツで登場する奏者。頭に帽子(?)をつけている人も。3DS「すれちがい広場」のMiiですね。カプチーノの帽子がすごかった。
 演奏会の休憩時間に「DSのピクトチャットをしましょう」とか「3DSすれちがい通信をしましょう」という趣向は関西のLEWOさんを始め色々な演奏会で行われているのですが、CCMの皆さんはこの演奏会に合わせて、数日前からTwitterアイコンを自分のMiiに揃えていたのが良かったですね。


 そういえば、司会の方が手に持ってきた原稿台紙が、巨大な3DS本体になってるのも良かったです。
 すれちがい広場に色々なキャラクターがやってくるという趣向のようです。
 こういった演劇形式で曲間をつないでいくパターンは高校の吹奏楽部とかでもよくあるのですが「すれちがい広場」を軸に据えたことでまとまりがあって良かったですね。
 ……いや、ボンバーキングの主人公が出てくるとか冷静に考えれば無理があるんですがw
 どこのタイミングで出てきたか忘れましたが、「私の最近遊んだゲームは……『本体設定』!」で爆笑でしたw あるある過ぎますw

2-1. すれちがいMii広場メインテーマ (from すれちがいMii広場)

 この曲は何度か繰り返されるとのことで、実際のゲームでも仲間が増えるに連れて演奏がゴージャスになっていきますが、それを再現。
 後半になって、リコーダーや鍵盤ハーモニカ、グロッケンなどが加わっていくことで、歌声にプラスして音色も賑やかになっていくのが良かったですね。
 リコーダーや鍵盤ハーモニカの音色とコーラスは、凄くバランスよく混ざりますね。

2-2. ボンバーキングのテーマ (from ボンバーキング)

 全曲のラインナップの中で、この曲だけ突出してマニアック度が高いですねw
 「ボンバーマン」なら知ってるけど「ボンバーキング」は知らない人も多いと思います。ゲームとしての出来は正直「……」なところもあるのですが、このメインテーマほんとにカッコイイんですよw 歌詞は高橋名人が歌っているバージョンだったと思います。この曲は男声が大活躍でしたね。そしてピアノによるイントロ部分がカッコ良かった!

2-3. 激突!グルメレース (from 星のカービィ スーパーデラックス)

 カービィの曲で1,2を争う有名度と思われる「グルメレース」ですね。寸劇付きでした。
 他の皆さんも言っていますが、これは言っておかなければならない。


 「全身ピンクタイツのカービィ役がひどいw」(褒め言葉)


 歌の方は、後半の「タッタラタッタッタッタッタッタ タッタラタッタッター」の高速フレーズの部分が、ソプラノ→アルト→テナー→バスとリレーしていくところが良かったです。

2-4. スペランカーメドレー (from スペランカー)

 指揮者のマリオがヘルメットを被るとあら不思議スペランカーに。これも踏まえてマリオの衣装を選択してたのでしょうか。
 これも過去の数々の演奏会の例に漏れず、もはやゲーム音楽界隈の鉄板ネタとなっている死亡BGM→ゲームオーバーの再現付きですw 伝統芸能の域じゃないかな。


 良かったのは、タイトル画面BGMをじっくりとやってくれたこと。これ何気にいい曲でハーモニーの美しさも合唱向きだと思います。


 指揮者さんのこだわりだなーと思ったのは、指揮台から主人公落ちて死ぬときにピョンと飛び降りたりしないところなんですよ! そのままスッと一歩だけ降りて死亡する。これが実にファミコンの画面そのままっぽくて、さすが!と思いました。
 その後は、指揮者さんの死亡芸。指揮台に仰向けに横たわりながら次の曲まるまる一曲待つというw

2-5. ペルソナメドレー (from ペルソナシリーズ)

 ペルソナ未プレイですが、『時価ネットたなか』と『サトミタダシ薬局店のうた』は噂に名高いので知っていますw
 しかし、まさか時価ネットたなかに「はるまき」ネタを混ぜてくるとはw これ内輪ネタではあるのですが受けてる人は大勢いました。Twitterとかがあるので知ってる人も多かったんでしょうね。
(※はるまきネタ:CCMの代表さんが「はるまき」と「からあげ」を言い間違えたことに端を発するゲーム音楽楽団界隈の一部で流行したネタ。Twitterなどを通じて当の本人が知らない範囲まで及んでいる)

2-6. ルーファウス歓迎式典 (from FINAL FANTASY VII)

 FF7ミニゲームにちなんで、行進するMii達が登場。
 ところどころ不審な行動をしてルーファウスに締めあげられるクラウドw クラウドさんイケメンでしたね。
 元々はブラスバンドの行進曲風の音楽ですが、コーラス+ピアノに電子ドラムのスネアを加えて再現されていました。

2-7. ゴールドソーサー (from FINAL FANTASY VII)

 ゲーム中の遊園地で流れる曲。12月ということもあって、アカペラで歌われるとどことなくクリスマスソング的な雰囲気もある気がします。
 しかし、誰がこの寸劇のシナリオを書いたのか、ルーファウスとクラウドが一緒にゴンドラに乗り込むいちゃいちゃ展開w 一部の人には「俺得」だったのかもしれませんw

2-8. すれちがい伝説 (from すれちがいMii広場)

 囚われた王様を助けるためにゴーストとの戦い。今まで出てきたMii達が果敢に挑みますが、ゴーストの攻撃に怯んで帰っていってしまいます。そこで最後に残ったルーファウスとクラウドがコンビで戦うことに。
 白い布を被ったゴーストを倒すと、そのゴーストの中から現れたのは……、なんとギルガメッシュ
 幽霊の白い布が裏返るとそのままギルガメッシュの服になる構造になっていたのですが、この仕掛けはビックリでした。どういう発想をしたらこれが思いつけるのか……。そして、そんなものが実際に作れるのか……!と。後述の話題も含めて、衣装係さん凄過ぎますね。

2-9. ビッグブリッヂの死闘 (from FINAL FANTASY V)

 FFシリーズ通しての有名曲で、かつ高難易度曲。最初のアルペジオとかはさすがに声では再現しようがないので編曲で工夫されているとはいえ、それにしても難しそう…。
 イントロ後の「つっつくつっつくつっつくつっつく」のところを合唱全員で突然真正面を向いて歌うのは爆笑でしたw
 合唱勢も気合が入りつつ、舞台前面ではバトルが繰り広げられていました。ギルガメッシュの演技もなかなかのものでしたね。


 最高に盛り上がって第二部が終了です。


■第3部

 第3部は本格的な合唱が堪能できそうな曲目がズラリ。期待が高まります。奏者も元の正装に戻って、第1部とは色の違うネクタイとスカーフで揃えてきました。

 団員さんによる後日談によると、女声陣が巻いていた赤と青のスカーフは衣装係の人が全員分縫ってくれたとのことだそうで……!! すごいなぁ…。(なんと、後に聞いたところ男性陣のネクタイも全部お手製だとか! す、すごい!)

 私の受け取り方に補正効果が掛かってるだけかもしれませんが、舞台から伝わってきていたメンバーの団結感みたいなものって、もしかするとこういう部分から生み出されていたんじゃないかな、と。

3-1. ファイアーエムブレムのテーマ (from ファイアーエムブレム)

 司会の人の「次の曲はファイヤーエンブレム……、失礼。ファイ「ア」ーエ「ム」ブレムは……」と言い直す細かいネタw もしRitter der Musikの方が会場に居たら激しく頷いていたのではないでしょうかw
 パンフレットによるとCCMとしてこの曲をステージで歌うのは4度目とのことでさすがの安定感でした。

3-2. Roaming Sheep (from FINAL FANTASY III)

 この曲が今回の演奏会で私が一番期待していた目玉曲なんです。
 ゲームに使われている曲ではなく、FF3のアレンジアルバムの収録曲ですが、私が初めて聴いたのは「Final Fantasy 1987-1994」というCDの方だったかもしれません。

 北欧の民族音楽を思わせるようなノスタルジックで透明感のある歌のハーモニー。この曲を聴きながら、当時の私は、頭の中で広大な草原、深い森林といったファイナルファンタジー世界のイメージを広げていたものでした。

 期待に違わぬ、CCMさんによる美しいハーモニー。
 本当にこの曲を歌ってくれてありがとうございます。CCMさん以外の団体ではまずありえないこの選曲。当時の記憶が蘇り、心が浄化されていくような気持ちでした……。

3-3. 聖剣伝説メドレー (from 聖剣伝説シリーズ)

 「クリスタルマナ」の内の「マナ」ですね。

 この曲のピアノはパンフレットにも「伴奏というよりパートの一つとして」と書いてある通り、主役になる部分には主役に躍り出て、サポートする部分ではサポートに周り、縦横無尽の大活躍でした。『子午線の祀り』のピアノは惚れました!カッコイイ。

 またグロッケンもいい効果を出していましたね。『天使の怖れ』のラストの高音なんかは、例えばソプラノが歌ったのではちょっと違ってしまうと思うんですよね。
 音域的にも音色的にも歌声を邪魔しないので、今回の演奏を聴いてみて、ああ、合唱に何か楽器を足すのであれば確かにグロッケンは適しているなと納得させられました。
 『天使の怖れ』や『Rising Sun』のように美しい響きのものもあれば、『子午線の祀り』のように激しく迫ってくる曲も。合唱のポテンシャルを味わいました。いい編曲だったと思います。

3-4. スクウェア系バトルメドレー (from FINAL FANTASYシリーズ、ロマンシング サ・ガクロノ・トリガー)

 そして最後を締めくくるのはバトルメドレー。当然、いずれも「コーラス的」な曲ではないわけですが、そういうのを全部やってしまうのがCCM流。
 バトル曲はオーケストラや吹奏楽団では金管楽器などが力を発揮するところですが、今回は歌声の力強さを実感しましたね。力強さ、迫力というのは絶対的な音量ではなくて、その編成の鳴らす音の中でどれだけ気迫が篭っているかなのかなと感じました。奏者さん達の気合の乗り方がすごかったです。
 そして締めくくりは戦闘勝利のファンファーレ。 ピアノのグリッサンドで豪快に締めくくってくれました。


■アンコール

 全てのプログラムが終了したところで、CCM代表さんからの挨拶。楽団設立からの思い出を語ってくれました。
 今ではこれだけ立派な楽団であるCCMさんも、最初は人数が少なかったんだなと。

 ゲーム音楽楽団の黎明期はどこもそうだったかもしれませんが、特に「合唱でゲーム音楽」という珍しい活動形態では、最初の内はなかなか人も集まらなかったことでしょう。そんな団体があるとは誰も思っていないわけで。

 そこからきっと少しづつ「仲間を求めて」、ようやくここまで辿り着いたんだろうなと思うと感慨深いものがありますね。

E-1. アリア (from FINAL FANTASY VI)

 これもゲーム音楽演奏会では定番中の定番であるFF6のアリア。歌を専門にしているCCMさんではもちろん筆頭候補に上がる曲だったことでしょう。
 女声と男声のソロ、とっても素敵でしたね。

E-2. メインテーマ (from FINAL FANTASYシリーズ)

 聖剣が「マナ」なら、こちらは「クリスタル」。やっぱり『ファイナルファンタジー』というタイトルは我々の世代のゲーム好きにとっては原点なのだろうなと思います。
 FF1の街(かエンディングテーマ?)が重なってくるところイイですね。
 最後の音の伸ばしで、指揮者さんが振り上げた指揮棒を回して溜めているとき、ああ、きっとこの指揮棒を下ろしたくないだろうなぁ……、と思いました。


 アンコールが終わって、終演のアナウンスが入り客席明転。
 それから奏者の人達が退場するとき、最後の一人が退場しきるまで拍手の勢いは一向に衰えませんでしたね。もちろん私も全力で拍手し続けました。

 拍手が退場まで続くかどうかというのは、舞台上の撤収の空気でも変わるので一概には言えませんが、このときの拍手の力強さは「素晴らしい歌声をありがとう」「楽しいステージをありがとう」「まだ拍手し足りないぞ」という観客からのメッセージだったように感じました。



 とても感動的な演奏会でしたね。
 演奏や編曲、演出など色々と良い点はあるとは思うのですが、総括するならメンバー皆さんの情熱がまっすぐにぶつかってきて、そしてそれを観客も共有できた演奏会だったんじゃないかな、と。


 決してメジャーでは無い合唱という編成。
 決してメジャーでは無いゲーム音楽という題材。
 歌の良さ、声の良さ、そしてゲーム音楽の良さを伝えよう。会場のお客様とこの楽しさを共有しよう。そういう気持ちを私は感じ取りました。


 私はCCMのメンバーに知り合いが沢山いて、体験版、4star、コスモさん、リトルさん、TMMさん、GAMEバンドさんと、色々共演された演奏会を聴いてきているので受け取り方にも補正が掛かっていると思いますが、本当に本当に素敵なステージでした。


 CCMの皆さん、素敵な時間をありがとうございました。これからの活躍も楽しみにしています。