統計の数字を読み解く

統計の数字を読み解くコーナー。本日の教材はこちらです。

<糖尿病予防>日本茶6杯かコーヒー3杯、毎日飲んで
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060423-00000004-mai-soci

5年間の追跡調査の結果、日本茶を飲む量を「週に1杯以下」と答えた2030人では64人(3.2%)が2型糖尿病を発症したが、「毎日6杯以上」の3835人では88人(2.3%)と少なかった。年齢や飲酒量などを考慮して分析すると「1日6杯以上」は「週1杯以下」に比べ発症リスクが33%低かった。

この記事を読んで、あなたは素直に信じるでしょうか? 私は以下の点が気になります。

  1. 調査対象の母数は充分であるが「糖尿病を発症した人」の母数が少ない。64人、88人という数字が統計学上有意であるかは怪しい。
  2. 「発症リスクが33%低い」というと凄い数字に見えるが、これは「比率の比率」を取った数字であることに注意。3.2%が2.3%に減ったということは「0.9%減った」という表現も可能である。記事は影響を大きく見せようとしていることが伺える。
  3. 別の相関の可能性が考えられる。日本茶を飲まない人は日頃「日本茶以外」を飲むことが多いのでは? それは糖分を多く含む飲料である場合もあるのでは? 日本茶の効能を語るのであれば、日本茶を飲む人と、同量の水を飲む人との間で比較をしなくてはならない。

上記の調査は「文部科学省研究班」が実施したそうですが、少なくとも記事だけをみるとかなり胡散臭いです。信頼できる機関の調査なので調査自体が嘘っぱちだとは思いませんが、素直に信じられるかというと疑問だらけです。