『ジラフとアンニカ』が程よいボリュームの良作ゲームだった
「メルヘンチックな絵本のような世界で、猫耳の少女アンニカがふしぎな島を探検する」
『ジラフとアンニカ』は一言で表せば、そんなゲームです。
『ジラフとアンニカ』公式サイト(https://www.giraffeandannika.com/)
感想は、「夏休みに、ノーマークだったアニメ映画を一本観てみたらとても丁寧な出来だったので大満足」といった言い方で雰囲気が伝わるでしょうか…。(伝わらないか…?)
『ジラフとアンニカ』の魅力
- 主人公アンニカの可愛さ
- 電子コミックのように読み進むほのぼのしたイベントパート
- 後半に向けて盛り上がるストーリー
- 統一感の取れた雰囲気のいいBGM
- 10時間弱でクリアできる、程よいボリューム感
ゲーム中にはダンジョンやボス戦などもあるのですが、攻撃とかバトルのようなものはない優しい世界観。
ボス戦はリズムゲームになってますが、難易度は選べるので苦手な人でも全然OK。
殺伐とした日常に疲れてしまったなー、という人には特にオススメ出来るかもしれません。
ストーリーは最初掴みどころのない感じで、特に使命感も目的もなくフワッとした感じのままお話は進むのですが、クリアまでやってみるとそれも納得という感じに仕上がっています。
開発は「atlier mimina」でインディーズゲームだそうですが、グラフィックスやキャラモデル、音楽など、メジャータイトルと比較してもあまり遜色ないクオリティと感じます。
キャラクターのモーションは可愛いですし、特にダンスの振り付けにはこだわりを感じましたね。
冒険の舞台の「スピカ島」には、思わずスクリーンショットを撮りたくなってしまう美しい風景がありますし、時間経過で昼夜が移り変わっていくのも良いです。
イベントシーンは電子コミックのように読み進むのですが、3Dモデルの会話で進めるよりもキャラの表情が豊かで、これは作品の特徴を生かした上手いシステムだなと感じました。
クリア時間「10時間」は、とっても魅力的
クリアまでのプレイ時間は10時間弱ほど(私の場合8時間ほど)で大作ではないのですが、その分、丁寧に愛情を持って作られているゲームだと思います。中だるみ感もあまり感じなかったかな?
後半のストーリーもなかなか素晴らしく、ボリュームは短めでもしっかりと満足感を得ることができました。
私は最近、ゲームをプレイするのにあまり時間を取ることが出来ないので、「10時間弱でゲームを一作品きっちり最初から最後まで味わえる」というのは、とてもプラスの要素だと思います。
忙しい日々の中で、「そういえば最近、エンディングのあるゲームを一本やりきっていないな……」と感じる人にはオススメできるかもしれません。
2000円前後のお値段もお手頃ですね。(SwitchのDL版が2,480円)
クラリネットが主役のBGM
ゲーム音楽ファンとして注目したいのは本作のBGMで、ピアノを中心としたアコースティックな音楽の中に、全編に渡って「クラリネット」が主役として出てきます。
(※作曲者の方によると、クラリネットが主人公のアンニカを表しているらしいです(友人談)。
ライナーノーツが読みたい……。曲のデジタル配信にライナーノーツのPDFも含めてください……)
クラリネットは音色の幅が広い楽器ですが、木管楽器のやさしい牧歌的な音色を基調としながらも、ぴょんぴょんと飛び跳ねるような軽快な音色、不安を感じる低い不気味な音色など、シーンに応じて効果的に使われています。
同じ木管楽器でも、軽やかな音色のフルートや哀愁漂うオーボエはゲーム音楽でも特に多様されますが、クラリネットがここまで主役として使われているゲーム音楽はあまり無いんじゃないかな……?と思います。
『ジラフとアンニカ』はこんな人にオススメ
本作は決してメジャーなRPGのような「大作」ではありません。
際立って斬新なシステムというものもなく、手に汗握るスリリングなアクションもなく、頭を使う戦略性、なんでも出来る自由度、どこまでも続けられるやりこみ要素などと言った人気大作タイトルにあるような要素はありません。
ですが、まるでハンドクラフトのような、丁寧に作られて雰囲気のよい、きちんとまとまった上質な小品、といった印象を受けます。
やりごたえのある大作タイトルや、終わりのないソーシャルゲームなどに疲れてしまった人、
ほのぼのした雰囲気のゲームが好きで、ゆっくり1週間も遊べばクリアできる「ちょうどいいゲーム」を探している人にはオススメできる作品かもしれません。
あと、可愛く動く猫耳少女が好きな人にも多分オススメ。