『問題な日本語』

最近、『問題な日本語』(ISBN:4469221686)という本を買ってみました。電車の釣り広告で存在を知ったときは、最近流行りの「問題」とされている日本語を「これは誤用です!」と断定してこき下ろすだけの本だろう、と思っていました。それは私の先入観であって実際は違ったのですが。
本屋で見かけたので、さてこの本の実力はどんなもんか、と思って立ち読みしてみたらビックリ。この本は、日本語の誤用を短絡的に断定するのではなく、極めて「フェアな視点」で「論理的に」に日本語を分析しています。
その日本語のどこが問題と思われていて、論点はどこなのか、実際文法的には誤りなのか、誤りなのであればそのように誤用されだした論理的背景は、また現代の日本においての普及率はどうなのか、充分日常的な語になっているのかどうか、公式な場での使用は避けた方がいいかどうか。結論の部分も「これは誤りだから使うな」という断定はされていずに、「まだ一般的には誤りだとされているが、将来市民権を得る可能性はある」とか「不快に感じる人もいるので、公式の場での使用は控えた方がよい」のように書かれています。
世の中の「短絡した論理」に辟易していて、「論理的なプロセス」を大事にする人にとっては気持ち良く読める名著と言えるでしょう。