Symphonic Fantasies Tokyo聴いてきたよ。

先日、スクウェア・エニックス楽曲のオーケストラコンサート、
「Symphonic Fantasies Tokyo」の1日目公演を聴いてきました。


http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/symphonic_fantasies/


これは、ドイツのトーマス・ベッカー氏がプロデュースしているコンサートで、2003年にドイツで始まった「Symphonic Game Music Concert」が元となっているようです。(パンフレットより)


その中で、この「Symphonic Fantasies」は、「キングダムハーツ」「聖剣伝説2」「クロノ・トリガークロノ・クロス」「ファイナルファンタジー」の4作品を取り上げて、2009年にドイツで初演されたコンサートの待望の日本公演です。

以前から、このコンサートは「編曲・アレンジが特に素晴らしい」という噂を聴いていたので、非常に楽しみにしていましたが、噂に違わぬ素晴らしさでしたね。もうその日の帰りは興奮しっぱなしでしたよ。


私は、原曲主義よりも今回のようなアレンジされた楽曲の方が好きなため、本当に面白かったです。ゲームのメロディー、モチーフを解釈して再構成し、折り重なるように積み上げられたサウンド

特殊奏法も山ほど使われていて、とにかく現代的で意欲的なアレンジでした。素人ながらに演奏難しかったんじゃないかなーと思います。

ゲーム本来のメロディー、モチーフが全く使われていない繋ぎパートでも、その雰囲気が全く損なわれないどころか、よりゲームの世界観が深く表現されているようにも思いました。特に、「聖剣伝説2」の前奏と後奏部分の、サウンドスケープ的な音の描き方は面白かったですね。

全体的に、古い時代のクラシックというよりは、より近代的な、印象主義(?)のようなサウンド作りがなされているように思えたのですが、最初から最後まで音世界に引きこまれて没入する感覚がありました。

こういう感覚はライブやコンサートで名演を聴いているときにたまにあるのですが……、全身の神経が舞台上にスーッと引き寄せられて、舞台上の解像度があがり、周辺視野や周囲の感覚が、ぼやーっとブラックアウトするような感覚。


聴いたのは1階センターやや前寄りのかなりの良席。
東京文化会館大ホールは、音が上に飛ぶという話を聴いたのですが、直接正面から飛んでくるような音圧はあまり感じず、しかし非常にバランスの良い鳴りだったと思います。
金管が押しすぎたりすることがなく、終始、弦と良好な控えめのバランスを保っていました。


ピッチや技術面に関しては終始安心して聴けていました。(耳が肥えてないだけかもですが)

ところどころ難があったというような話も聴くのですが……、私の場合は音を大きく外したり、リズムが終始大きく崩れたりということがなければ、音楽を味わう上では全く支障を感じないんですよね。細かい部分のミスは、全体の楽しみが塗り替えてしまうというか。 とにかく音楽的な体験が素晴らしく楽しすぎました。


演奏が終わった後の曲間や休憩時間で、会場が「おぉぉ…」と、どよめいたのが凄かったですね。
曲が終わる瞬間まで張り詰めていた緊張感が感動へと昇華し、それが弛緩して吐き出されて、隣の友人とその感動を分かち合いたいという気持ちが、大きなどよめきとなって現れたのだと思っています。


あまり執拗なカーテンコールは行わなず、閉園の挨拶後はそのまま奏者がパラパラと引き上げるというアメリカンスタイル(あってる?)の入退場だったのですが、それに対してコーラス奏者の最後の人が退場するまで、拍手がまったく減衰することなく鳴り止まなかったというのが、このコンサートに対する観客の評価だったと思います。

ほんと、恥ずかしいとか思わずに、立ち上がって拍手を送れば良かったと思います。


今後、このようなしっかりとしたビジョン、新しいコンセプトに基づいたコンサート、編曲というのは増えてくるんじゃないかなと思います。
「Symphonic」シリーズの他の公演も是非日本に来て欲しいですね。

ゲーム音楽コンサート史の一つの転換点になるんじゃないかと思った素晴らしいコンサートでした。