全日本フィギュアスケート選手権 自己流採点の結果
先日のブログ記事(http://d.hatena.ne.jp/Sinon/20131224)で、自己流でGOE採点(および回転不足判別)を試みてみたのでその答え合わせ結果。*1
GOE正答率
- 女子ショート10人
- 男子フリー9人
- 女子フリー10人
の全172ジャンプに対して、自己流でGOEを付けた結果です。
何を正答とするかは難しいですが、
ジャッジ平均とGOE誤差が1未満 | 79.7% |
同じGOEを付けたジャッジが居る | 86.0% |
という結果になりました。8割方正解というところでしょうか。
1エレメンツ辺りのGOE誤差平均値は0.56。まあまあ優秀な結果だと思いたいです。
ジャンプの加点/減点は指針があるので、ジャッジ素人でも大まかな評価は出来るということでしょうか。回転不足やエッジエラーの判断を間違えたジャンプでは、GOE採点も大きく離れる場合が目立ちました。
私が主にプラス要素として注目していたのは下記の項目。
- 飛距離と高さがある。
- 着氷後に滑りが止まらずにスーッと流れる。
- 連続ジャンプの2つ目以降に幅と高さがある。
- イーグルやステップ/ターンなどからの難しい踏み切り。
- 着氷後にそのままターンを入れている。
良いジャンプがどういうものなのかが分かってくると、「今のはいいジャンプだった!」「今のはちょっとイマイチ」のように観戦が楽しめると思います。転倒したか・していないかだけよりも一歩深くフィギュアスケートを楽しむことが出来るのは結構楽しいですよ。
回転不足正答率
今回、全172ジャンプ中の21ジャンプが回転不足と判定され、その内15ジャンプを正解しました。
それとは別に5つのジャンプを回転不足と誤認していたので、実質「15 / 26 = 57.7%」くらいの正答率でしょうか。
転倒や両足着氷など元々非クリーンだったジャンプや、3連続ジャンプの後半部分など重要度が低い箇所での誤答が多かったので、それを差し引いて、主要なジャンプの判定だけで計算した場合は8割くらいは当てていると主張したいところです。
通常スピードの映像ではさすがに全ては見極められないものの、スロー再生をしてみて「ああ回転足りていないな」と思ったジャンプは殆どジャッジに回転不足を取られていました。通常スピードでも「あっ、なんかグリ降りしたかも」と思ったジャンプは、スローでみるとハッキリ足りていないことが多いです。
これも素人が完璧に見分けるというのは難しいですが、回転不足が分かってくると、逆に回転不足をせずにビタっと止まるジャンプの美しさというのが分かってくるようになります。
浅田真央のスピンがレベル1
余談ですが、浅田真央選手のフリーのFCCoSp(フライング足換えコンビネーションスピン)はシット姿勢が甘くてこれはレベル1になるんじゃないかと思っていたのですが、案の定でした。
足換えコンビネーションスピン(スピン中にキャメル/シット/アプライトの複数の基本姿勢を取るスピン)では、両足通してこの3姿勢が全て含まれていないと、他でどんなに難しいことをしていても最大でレベル1しか貰えません。
シット姿勢はお尻の高さが膝よりも低くなっていないとシットと認められないのですが、それが確かに甘かったですね。
ここできちんと指摘を受けたので、当然ソチまでには完璧に修正してくることでしょう。
*1:GOE=Grade of Execution:技の出来栄え。-3〜+3の7段階で評価する
2013年全日本フィギュアスケート選手権 男子ショート観戦メモ
TVの録画映像見たのが遅かったので、Twitterにつぶやく代わりに手元に残しておいたメモ。あとからプロトコル確認してみたところ、割と良い見れ方してるんじゃないの、と自画自賛。
この形式の観戦メモは男子ショートしか付けていない。
町田樹
4+3ちょっと身構えが堅い気がしたけど回転は完ぺき。着氷ちょっと止まったからGOEは+1くらいか?
3Aも幅もあり着氷後の流れが綺麗。GOE+2取れる。
3Lzも完ぺき。
上体も使えていてステップの一連の動きが滑らか。
90点超えてくると思われる。 → 93点
無良崇人
ちょっと空気に飲まれている感ないか?
4回転回りきったけどお手つき、GOE-2くらいか?
3Aは高い。GOE+2取れる。
うわあ、3Lzからのコンビにならなかった…。ショートの規定を満たさないのでGOE強制で-3。ここで6点くらい失っている。
合計80点くらいの気がする。 → え、71.25!?
PCSがあまり高くないか、取りこぼしがあるのかもしれない。
村上大介
4Sは、全然高さが足りなかった。4S<<で、8〜9点引かれる計算。
3AはOK。
3Lz+2T。
他のトップ選手に比べるとPCSが見劣る。全体的なスピードなど。
GOEもそこまで高くは付かない。
60点台後半くらいか? → 65点
織田
踏み切りのタイミングが合わない。3T。これはコンボで+3T跳べないので一番痛い失敗。
3AはGOE+2付く出来。
3Lz+2T、ルール上はきちんと回避した。
70点台後半ではなかろうか。 → 77点
山田
3F+2T GOEはマイナスか。 3Lzこれもこらえた。GOEはマイナスか。
2Aはきちんと。
プログラムの振り付けはエキシビションのようでとても面白い。
技術面はトップクラスからはどうしても見劣りしてしまうか。
50点台後半? → 49点だった…。
中村健人
3F+3Tはしっかり。2Aになったのは勿体ない。ここで5点くらい減。
ステップは上体までしっかり使えていて良い。スケーティングもしっかりしてそう。
3Lz着氷こらえた。
65点くらいか? → 69点
磯崎大介
初見。3Lz転倒。3Lo+2Tこれはきちんと。
2Aは普通。
40点台後半か? → 51点
羽生結弦
4T完ぺき。流れも高さもあり、回転も完ぺき。GOE+3近く付くと思う。
3AこれもGOE+3近くつくと思う。
やばい。100点行くんじゃないかこれ?
わああああ! 103点!!!
高橋大輔
滑り出しの雰囲気はすごくいい。
4Tあああ、両足着氷。回転も足りていない。GOEと合わせて-5点くらいか。
3A完ぺきに着氷!と思ったら……エッジが抜けて転倒。これは痛い。GOE含めて-4点。
3Lz+3TはそこまでGOE付かない。+1くらいか。
ステップは圧巻。
最後のスピンはレベル取りこぼした。
85点くらいか? → 82点
※明らかな両足着氷なのに「こらえた」とか言ってしまう実況が誤解を生む原因の一つだと思う。
小塚崇彦
4T、回転不足気味。オーバーターン。GOE-1か2
3Aはいい。
3Lz+3Tこれは間にターン入ったが認められるか微妙。認められそう。
80点前後か? → 90点だった。
2013年全日本フィギュアスケート選手権GOE自己採点
2013年の全日本フィギュアスケート選手権を見ながら、自己流でGOE採点(および回転不足判別)を試みてみました。自分の採点をこの記事として投稿してから、正解のプロトコルを確認してみるという遊びです。
女子ショート、男子フリー、女子フリーの順。
TV映像を録画で見ていて、回転やエッジが怪しいかもと気になったジャンプはスローやコマ送りで確認しなおした上で付けています。また演技終了後のスロー映像で回転不足と思った場合は付け直してます。(※ジャッジのやり方とは違います)
女子ショート
3T+3T | +1 |
3F | +1 |
2A | 0 |
3Lz+3T | 0 |
3F | 0 |
2A | 0 |
3Lo | -2 |
3S+3T | +1 |
2A | +1 |
LSp | ? |
CCoSp | ? |
中塩美悠
3T+3T | +1 |
3F | 0 |
FSSp | ? |
2A | +1 |
LSp | ? |
2A | +1 |
3S+3T | 0 |
3Lo | +1 |
木原万莉子
3T+3T | +1 |
3Lo | +1 |
2A | +1 |
3T+3T | +2 |
3Lz | +1 |
2A | 0 |
3A | -2 |
3F | +2 |
3Lo+2Lo | +2 |
3T+3T | +2 | 2ndあやしい? |
3F | 0 | |
2A | +2 |
3T+3T | 0 |
3F | +1 |
2A | +1 |
男子フリー
4T<< | -3 |
3A+2T | +1 |
2F+2T | 0 |
3A | +1 |
3S+2T+2T | 0 |
3Lz e | -2 |
3F | 0 |
3Lo | 0 |
佐々木彰生
3A | -1 |
3Lz+3T | +1 |
3A<< | -3 |
2Lo | -1 |
3S+2T | 0 |
3F | -3 |
3Lz | -1 |
2A | 0 |
4T | -1 |
3Lz+3T | +1 |
1A+2T | +1 |
1Lo | 0 |
3A+3T | +1 |
3F | 0 |
3Lz | +1 |
3S | +1 |
4S | -3 |
4T | +1 |
3F | +2 |
3A+3T | +2 |
3A+2T | +2 |
3Lo | +1 |
3Lz+1Lo+3S | +1 |
3Lz | -1 |
3A | -3 |
3Lz e | 0 |
3Lo | +1 |
3Lo+2T | +1 |
3F+2T | 0 |
3F | +1 |
2A+3T+2T | +1 |
3S | 0 |
4T+3T | 0 |
3T | 0 |
3A+2T | +2 |
3A | +1 |
3Lz+1Lo+3S | +2 |
3F | +1 |
3Lo | -1 |
2A | +1 |
4T | -3 |
4T<< | -3 |
3A | +2 |
3A+2T | -1 |
3Lz+2T+2Lo | +1 |
3Lo<< | -2 |
3F | +1 |
3S | 0 |
4T | 0 |
4T+2T | +1 |
3A+3T | +2 |
3A | +2 |
3Lo | 0 |
3Lz | 0 |
3F+2T+2Lo | 0 |
3S | 0 |
4T | -2 |
3A | +1 |
3Lz+2T+2Lo e? | 0 |
3A+2T | 0 |
3F | +1 |
3S | +1 |
3Lz | -3 |
2A+2T | +1 |
女子フリー
中塩美悠
3Lz e | -1 |
3Lo | 0 |
2A+3T | 0 |
3F | +1 |
3F | -3 |
3S+2T+2T | 0 |
3T | +1 |
3Lz e | -1 | |
3F+2T | +1 | |
2A+1Lo+3S | +1 | 3S<かも? |
2A+3T | +1 | |
3Lo | 0 | |
3F | +1 | |
3S | 0 |
木原万莉子
3Lz< e | -2 |
3F | -3 |
3Lo+2T+2Lo | +1 |
2A+3T | 0 |
3S | +1 |
3Lo | +1 |
3F<+2T | -2 |
3A | -3 |
3F | +2 |
3S | +1 |
2A+3T | 0 |
3S | -2 |
3Lo | +1 |
3Lo+2T | 0 |
3Lz+3T | -1 |
3F | -1 |
3Lo | 0 |
2A | +1 |
2A+3T | +1 |
3Lz+2T+2T | +1 |
3S | +1 |
3F+2T+2Lo | +1 |
2A+3T | +2 |
3Lz | +1 |
3F | +1 |
3Lo | 0 |
3S+2T | +1 |
3S | +1 |
3Lz+2T | +2 |
1S | 0 |
2A+3T | +1 |
1Lz | 0 |
3S | +1 |
3S+2T | -1 |
2A | 0 |
3F | +2 |
3Lo | +1 |
3S+2T+2Lo | +1 |
2A+3T | +1 |
3Lo+2T | 0 |
3S | +1 |
2A | -2 |
3T+3T | +2 |
3Lz e | -2 |
3Lo | 0 |
3F+2T | +1 |
3F | +1 |
2A | +1 |
3S+2Lo+2Lo | +1 |
3A | -2 | |
1A+T | -3 | 転倒後+1T? |
3F | +2 | |
2A+3T | 0 | |
3S | 0 | |
3F<+1Lo<< | -2 | |
3Lo | +1 | |
CCoSp | ? | シット姿勢? |
「3A+2T」が「3Lz+3T」より基礎点が低いのはおかしいのか?
現役では唯一、浅田真央選手しか跳ぶことの出来ないトリプルアクセル。それを含めた高難度のジャンプコンビネーション「3A+2T」*1が、より多くの人が跳んでいる「3Lz+3T」*2よりも基礎点が低いのはおかしいのではないか。
何年か前から繰り返し語られているこの話題は、いくつかの誤解を含んでいます。
1.前提知識
ジャンプの基礎点*4
3T | 4.1 | 2T | 1.3 | |
3S | 4.2 | 2S | 1.3 | |
3Lo | 5.1 | 2Lo | 1.8 | |
3F | 5.3 | 2F | 1.8 | |
3Lz | 6.0 | 2Lz | 2.1 | |
3A | 8.5 | 2A | 3.3 |
(注:本記事は2013年12月時点の基礎点になっていますのでご注意下さい。その後基礎点は改定されています)
つまり「3+2回転」のジャンプと「3+3回転」のジャンプを比較していることが、まずナンセンスです。
どちらも2連続ジャンプという点では同じですが、主要な得点源である3回転ジャンプが1個入ってるか2個入ってるかという部分が、そもそも大きく異なっているからです。
もし比較をしたいのであれば「3A」と「3Lz」の基礎点を単に比較すればいいわけで(8.5点と6.0点)、一方には点数の低いジャンプを加算し、かたやもう一方には点数の高いジャンプを加算した上で比較するのでは、おかしな話になってしまいます。
ですが、この説明だけでは納得できない人もいるかもしれません。続きがあります。3Aが跳べることは見た目の基礎点以上に大きなメリットがあるのです。
2.ジャンプ回数の制限ルール
3回転以上のジャンプには回数制限のルールがあります。詳しいルールは各自調べてもらうとして、女子フリーでは最大で普通「5種7回」。3Aが跳べる選手は「6種8回」の3回転ジャンプをプログラムに含めることができます。
さて、この回数制限を頭に入れた上で、3回転ジャンプの回数を1つしか消費せずに9.8点取れるジャンプと、2つ消費して10.1点取れるジャンプではどちらが優秀でしょうか?
もちろん前者の方が優秀なわけです。先ほど「3+2回転」と「3+3回転」を比較するのはナンセンスだと言ったのは、このような回数制限の枠を無視して比較しようとしているからです。
3.何故「3A+2T」を跳ぶのか?
3回転以上のジャンプを2度試みるときは、片方は必ずコンビネーションジャンプとして実施しなければならない。
同じ要素の繰り返し実施はフィギュアスケートでは単調な演技とされているため、このようなルール上の制限が設けられています。
浅田選手としては基礎点8.5点のトリプルアクセルが跳べるのだから、出来れば2回組み込みたい。そうすればより大きなアドバンテージを得られます。
しかし、前述のルールがあるのでその場合は片方をコンビネーションにする必要があります。そのためにわざわざ「3A+2T」というジャンプを選択しているのです。(2回組み込まないのであれば、単に「3A」を単独で跳べばよい)
「+2T」の部分には、元から高得点を期待して跳んでいるわけではないのです。(それでも1.3点を軽視して良いというわけではありませんが)
男子並の跳躍力とパワーがあれば、ここを「3A+3T」にして12.6の基礎点を得ることも可能ですが、さすがに女子選手では難しいですね。(過去に伊藤みどりが練習で跳んではいますが……)
また、ジャンプコンビネーションの基礎点は単純な足し算と最初に言いました。
何もわざわざ難しい3Aのときに、敢えて+3Tのコンビネーションを付ける必要はありません。他のもっと簡単なジャンプのときに+3Tを付ければトータルでの点数は同じことになります。
実際、浅田選手の場合はプログラムの後半で「2A+3T」のコンビネーションを入れていますね。
さて「3A」単独と「3A+2T」とを跳ぶことで、3Aの高い基礎点(8.5点)を2つ分も得ることができました。ここまで3回転ジャンプの枠は2枠しか消費していません。しかも「3Lz」も「3T」もまだ跳ぶ権利を残しているわけです。
これが女子選手がトリプルアクセルを跳べることの強力なメリットになるわけです。(もちろん3Aの基礎点8.5点というのも、それだけで非常に大きいメリットですが)
4.二者択一なのか?
「3A+2T」「3Lz+3T」のコンビネーションは、別にどちらかしか跳ぶことが許されていないわけではありません。どちらを跳ぶかは選手の自由ですし、もちろん両方跳べるなら両方跳んで構いません。どの選手も成功率を鑑みてより多くの点を狙えるジャンプをプログラムに組み込んでいるだけです。
巷で見かける話は、「より難しいジャンプなのに9.8点しか貰えないのはおかしい」という文脈が多いのですが、「9.8点」と「10.1点」のジャンプどちらも跳べるなら跳んで良いのです。そうすればこれだけで20点近く取れます。
ですが浅田選手の場合は、ルッツが苦手という弱点があるためこれをプログラムには入れていません。
その結果、何故か「3A+2T」と「3Lz+3T」が対決するかのような比較が繰り広げられてしまっているのが現状です。(スポーツメディアですらこのようなことを言っている場合があるのが殘念です)
「3回転ジャンプの回数枠」というルールを知り、プログラム全体のジャンプ構成がどうなっているかを知れば、「3A+2T」と「3Lz+3T」の部分だけ抜き出して基礎点を比較することが、如何にナンセンスな議論かお分かり頂けるのではないでしょうか。
別に浅田選手は、「得点の不遇を嘆きながらそれでも大好きな3Aを跳んでいる」なんてことは無いのですから……。
この記事が、日頃疑問を感じている方のルールの理解の助けになれば幸いです。
コールクリスタルマナさんの演奏会で歌声を堪能してきた。
Chor Crystal Mana(コール・クリスタル・マナ、以下CCM)さんの演奏会を聴きに行ってきました。
今回の感想は気合入れたので長文ですよ。
「Chor Crystal Mana 初回限定版 〜大合唱!ゲーム音楽伝説〜」
■日時:2013年12月7日(土) 13:00開場 13:30開演
■場所:江東区亀戸文化センター カメリアホール
http://www.chorcrystalmana.net/concert.html
CCMさんはゲーム音楽を合唱する合唱団。ゲーム音楽楽団は今でこそ増えましたが、その中で「合唱」というスタイルで活動している団体は珍しいですね。
いやぁ……、本当に感動しました……。
人の声ってこんなにも強く心を揺さぶるんだな、と。
演奏会を通して、「ゲーム音楽が大好きだ」という気持ち。「歌うことが大好きだ」という気持ち。そして「人を楽しませることが大好きだ」という気持ちが、それはもう溢れんばかりに伝わってきました。
■第1部
1-1. 時の回廊 (from クロノトリガー)
演奏会の1曲目は、舞台上にも客席にも緊張感が張り詰めているものです。合唱というスタイルを初めて聴くお客さんに取っては尚更、「一体どんな音が出てくるんだろう」と固唾を呑んでいたことでしょう。
ピアノのアルペジオに乗って、滑りだすようにホールに響きはじめるハーモニー。時の回廊の神秘的な展開。各パートに受け継がれていくメロディ。途中から『クロノ・トリガー』のメロディが被さってくる展開。歌声って美しいなと感じさせる曲でした。
1-2. THE World of MOTHER 〜MOTHERメドレー〜 (from MOTHER)
2曲目はMOTHERメドレー。演奏会の2曲目から早くも感動で殺しにかかってきますね……。
MOTHERと言うとやはり「4starオーケストラ」での最終日アンコールを思い出します。あのときにコーラスに乗っていたのもCCMさんでしたね。『POLLYANNA』を聞くと泣きそうになります。
おにいさん戦(?)からは指揮者さんのノリも良くなり、奏者も緊張がほぐれてきた感があります。
『EIGHT MELODIES』の出だしは、どこの演奏でも各楽器のソロから行われるのが通例となっていますが、これが歌声でのソロというのがまた格別で一番の涙腺崩壊ポイントでした。震えがきましたよ。
最後は客席の手拍子も入って素晴らしい演奏会でした。
〜Fin〜
(;∀;)<イイ演奏会ダッタナー
と思ってしまうクライマックスっぷりでした。……まだ2曲目ですけどね(笑)
1-3. 仲間を求めて (from Final Fantasy VI)
この曲の前に舞台進行上のトラブルが。司会者さんが曲順を間違えて舞台上に出てきてしまい、指揮者さんが(もう一曲あります…!)と下げさせる展開。これには観客も思わず苦笑w
その後、指揮者さんが改めて客席に向かって大仰にお辞儀をしなおして会場の空気を仕切り直したのですが、この判断は素晴らしかったですね。これで微妙な空気が払拭されました。
結果的にはこのアクシデントで観客も奏者も肩の力が抜けた気がするので、結果オーライだったんじゃないかなと……。
『仲間を求めて』の曲は、とても歌声に力が乗っていたような気がします。
名曲だからというのもありますが、……もしかするとパンフレットの解説や、最後の代表さんの挨拶にあったとおり、CCMさんの成り立ちから今までの歴史そのものがまさに「仲間を求めて」だったからじゃないのかな……と思っちゃいました。
1-4. The Unsung War (from ACE COMBAT 5)
「ACE COMBAT 5」は未プレイですが、とにかく引きこまれました……。
映画音楽のような宗教音楽のような四声による荘厳な響き。男声の重厚さ力強さと、突き抜けるようなソプラノ。コーラスの技術面はあまり分かりませんが相当難しい曲だったのでは。
第一部を締めくくるのにふさわしい大曲だったと思います。
今後、この曲をやりたいと思う楽団さん出てくるんじゃないかなーと思います。
■第2部
さて、第2部はパンフレットの曲目を見た時点で、何かやってくるならここしかないというラインナップ。
コスモスカイさんとかリトルジャックさんでしかCCMを知らない人は面喰らうかもしれませんが、「体験版」を聴きに行っていた方はCCMの真の姿がこれだということを知っていることでしょう(笑)
黄色、青、緑、オレンジ……etc.カラフルなTシャツで登場する奏者。頭に帽子(?)をつけている人も。3DS「すれちがい広場」のMiiですね。カプチーノの帽子がすごかった。
演奏会の休憩時間に「DSのピクトチャットをしましょう」とか「3DSのすれちがい通信をしましょう」という趣向は関西のLEWOさんを始め色々な演奏会で行われているのですが、CCMの皆さんはこの演奏会に合わせて、数日前からTwitterアイコンを自分のMiiに揃えていたのが良かったですね。
そういえば、司会の方が手に持ってきた原稿台紙が、巨大な3DS本体になってるのも良かったです。
すれちがい広場に色々なキャラクターがやってくるという趣向のようです。
こういった演劇形式で曲間をつないでいくパターンは高校の吹奏楽部とかでもよくあるのですが「すれちがい広場」を軸に据えたことでまとまりがあって良かったですね。
……いや、ボンバーキングの主人公が出てくるとか冷静に考えれば無理があるんですがw
どこのタイミングで出てきたか忘れましたが、「私の最近遊んだゲームは……『本体設定』!」で爆笑でしたw あるある過ぎますw
2-1. すれちがいMii広場メインテーマ (from すれちがいMii広場)
この曲は何度か繰り返されるとのことで、実際のゲームでも仲間が増えるに連れて演奏がゴージャスになっていきますが、それを再現。
後半になって、リコーダーや鍵盤ハーモニカ、グロッケンなどが加わっていくことで、歌声にプラスして音色も賑やかになっていくのが良かったですね。
リコーダーや鍵盤ハーモニカの音色とコーラスは、凄くバランスよく混ざりますね。
2-2. ボンバーキングのテーマ (from ボンバーキング)
全曲のラインナップの中で、この曲だけ突出してマニアック度が高いですねw
「ボンバーマン」なら知ってるけど「ボンバーキング」は知らない人も多いと思います。ゲームとしての出来は正直「……」なところもあるのですが、このメインテーマほんとにカッコイイんですよw 歌詞は高橋名人が歌っているバージョンだったと思います。この曲は男声が大活躍でしたね。そしてピアノによるイントロ部分がカッコ良かった!
2-3. 激突!グルメレース (from 星のカービィ スーパーデラックス)
カービィの曲で1,2を争う有名度と思われる「グルメレース」ですね。寸劇付きでした。
他の皆さんも言っていますが、これは言っておかなければならない。
「全身ピンクタイツのカービィ役がひどいw」(褒め言葉)
歌の方は、後半の「タッタラタッタッタッタッタッタ タッタラタッタッター」の高速フレーズの部分が、ソプラノ→アルト→テナー→バスとリレーしていくところが良かったです。
2-4. スペランカーメドレー (from スペランカー)
指揮者のマリオがヘルメットを被るとあら不思議スペランカーに。これも踏まえてマリオの衣装を選択してたのでしょうか。
これも過去の数々の演奏会の例に漏れず、もはやゲーム音楽界隈の鉄板ネタとなっている死亡BGM→ゲームオーバーの再現付きですw 伝統芸能の域じゃないかな。
良かったのは、タイトル画面BGMをじっくりとやってくれたこと。これ何気にいい曲でハーモニーの美しさも合唱向きだと思います。
指揮者さんのこだわりだなーと思ったのは、指揮台から主人公落ちて死ぬときにピョンと飛び降りたりしないところなんですよ! そのままスッと一歩だけ降りて死亡する。これが実にファミコンの画面そのままっぽくて、さすが!と思いました。
その後は、指揮者さんの死亡芸。指揮台に仰向けに横たわりながら次の曲まるまる一曲待つというw
2-5. ペルソナメドレー (from ペルソナシリーズ)
ペルソナ未プレイですが、『時価ネットたなか』と『サトミタダシ薬局店のうた』は噂に名高いので知っていますw
しかし、まさか時価ネットたなかに「はるまき」ネタを混ぜてくるとはw これ内輪ネタではあるのですが受けてる人は大勢いました。Twitterとかがあるので知ってる人も多かったんでしょうね。
(※はるまきネタ:CCMの代表さんが「はるまき」と「からあげ」を言い間違えたことに端を発するゲーム音楽楽団界隈の一部で流行したネタ。Twitterなどを通じて当の本人が知らない範囲まで及んでいる)
2-6. ルーファウス歓迎式典 (from FINAL FANTASY VII)
FF7のミニゲームにちなんで、行進するMii達が登場。
ところどころ不審な行動をしてルーファウスに締めあげられるクラウドw クラウドさんイケメンでしたね。
元々はブラスバンドの行進曲風の音楽ですが、コーラス+ピアノに電子ドラムのスネアを加えて再現されていました。
2-7. ゴールドソーサー (from FINAL FANTASY VII)
ゲーム中の遊園地で流れる曲。12月ということもあって、アカペラで歌われるとどことなくクリスマスソング的な雰囲気もある気がします。
しかし、誰がこの寸劇のシナリオを書いたのか、ルーファウスとクラウドが一緒にゴンドラに乗り込むいちゃいちゃ展開w 一部の人には「俺得」だったのかもしれませんw
2-8. すれちがい伝説 (from すれちがいMii広場)
囚われた王様を助けるためにゴーストとの戦い。今まで出てきたMii達が果敢に挑みますが、ゴーストの攻撃に怯んで帰っていってしまいます。そこで最後に残ったルーファウスとクラウドがコンビで戦うことに。
白い布を被ったゴーストを倒すと、そのゴーストの中から現れたのは……、なんとギルガメッシュ!
幽霊の白い布が裏返るとそのままギルガメッシュの服になる構造になっていたのですが、この仕掛けはビックリでした。どういう発想をしたらこれが思いつけるのか……。そして、そんなものが実際に作れるのか……!と。後述の話題も含めて、衣装係さん凄過ぎますね。
2-9. ビッグブリッヂの死闘 (from FINAL FANTASY V)
FFシリーズ通しての有名曲で、かつ高難易度曲。最初のアルペジオとかはさすがに声では再現しようがないので編曲で工夫されているとはいえ、それにしても難しそう…。
イントロ後の「つっつくつっつくつっつくつっつく」のところを合唱全員で突然真正面を向いて歌うのは爆笑でしたw
合唱勢も気合が入りつつ、舞台前面ではバトルが繰り広げられていました。ギルガメッシュの演技もなかなかのものでしたね。
最高に盛り上がって第二部が終了です。
■第3部
第3部は本格的な合唱が堪能できそうな曲目がズラリ。期待が高まります。奏者も元の正装に戻って、第1部とは色の違うネクタイとスカーフで揃えてきました。
団員さんによる後日談によると、女声陣が巻いていた赤と青のスカーフは衣装係の人が全員分縫ってくれたとのことだそうで……!! すごいなぁ…。(なんと、後に聞いたところ男性陣のネクタイも全部お手製だとか! す、すごい!)
私の受け取り方に補正効果が掛かってるだけかもしれませんが、舞台から伝わってきていたメンバーの団結感みたいなものって、もしかするとこういう部分から生み出されていたんじゃないかな、と。
3-1. ファイアーエムブレムのテーマ (from ファイアーエムブレム)
司会の人の「次の曲はファイヤーエンブレム……、失礼。ファイ「ア」ーエ「ム」ブレムは……」と言い直す細かいネタw もしRitter der Musikの方が会場に居たら激しく頷いていたのではないでしょうかw
パンフレットによるとCCMとしてこの曲をステージで歌うのは4度目とのことでさすがの安定感でした。
3-2. Roaming Sheep (from FINAL FANTASY III)
この曲が今回の演奏会で私が一番期待していた目玉曲なんです。
ゲームに使われている曲ではなく、FF3のアレンジアルバムの収録曲ですが、私が初めて聴いたのは「Final Fantasy 1987-1994」というCDの方だったかもしれません。
北欧の民族音楽を思わせるようなノスタルジックで透明感のある歌のハーモニー。この曲を聴きながら、当時の私は、頭の中で広大な草原、深い森林といったファイナルファンタジー世界のイメージを広げていたものでした。
期待に違わぬ、CCMさんによる美しいハーモニー。
本当にこの曲を歌ってくれてありがとうございます。CCMさん以外の団体ではまずありえないこの選曲。当時の記憶が蘇り、心が浄化されていくような気持ちでした……。
3-3. 聖剣伝説メドレー (from 聖剣伝説シリーズ)
「クリスタルマナ」の内の「マナ」ですね。
この曲のピアノはパンフレットにも「伴奏というよりパートの一つとして」と書いてある通り、主役になる部分には主役に躍り出て、サポートする部分ではサポートに周り、縦横無尽の大活躍でした。『子午線の祀り』のピアノは惚れました!カッコイイ。
またグロッケンもいい効果を出していましたね。『天使の怖れ』のラストの高音なんかは、例えばソプラノが歌ったのではちょっと違ってしまうと思うんですよね。
音域的にも音色的にも歌声を邪魔しないので、今回の演奏を聴いてみて、ああ、合唱に何か楽器を足すのであれば確かにグロッケンは適しているなと納得させられました。
『天使の怖れ』や『Rising Sun』のように美しい響きのものもあれば、『子午線の祀り』のように激しく迫ってくる曲も。合唱のポテンシャルを味わいました。いい編曲だったと思います。
3-4. スクウェア系バトルメドレー (from FINAL FANTASYシリーズ、ロマンシング サ・ガ、クロノ・トリガー)
そして最後を締めくくるのはバトルメドレー。当然、いずれも「コーラス的」な曲ではないわけですが、そういうのを全部やってしまうのがCCM流。
バトル曲はオーケストラや吹奏楽団では金管楽器などが力を発揮するところですが、今回は歌声の力強さを実感しましたね。力強さ、迫力というのは絶対的な音量ではなくて、その編成の鳴らす音の中でどれだけ気迫が篭っているかなのかなと感じました。奏者さん達の気合の乗り方がすごかったです。
そして締めくくりは戦闘勝利のファンファーレ。 ピアノのグリッサンドで豪快に締めくくってくれました。
■アンコール
全てのプログラムが終了したところで、CCM代表さんからの挨拶。楽団設立からの思い出を語ってくれました。
今ではこれだけ立派な楽団であるCCMさんも、最初は人数が少なかったんだなと。
ゲーム音楽楽団の黎明期はどこもそうだったかもしれませんが、特に「合唱でゲーム音楽」という珍しい活動形態では、最初の内はなかなか人も集まらなかったことでしょう。そんな団体があるとは誰も思っていないわけで。
そこからきっと少しづつ「仲間を求めて」、ようやくここまで辿り着いたんだろうなと思うと感慨深いものがありますね。
E-1. アリア (from FINAL FANTASY VI)
これもゲーム音楽演奏会では定番中の定番であるFF6のアリア。歌を専門にしているCCMさんではもちろん筆頭候補に上がる曲だったことでしょう。
女声と男声のソロ、とっても素敵でしたね。
E-2. メインテーマ (from FINAL FANTASYシリーズ)
聖剣が「マナ」なら、こちらは「クリスタル」。やっぱり『ファイナルファンタジー』というタイトルは我々の世代のゲーム好きにとっては原点なのだろうなと思います。
FF1の街(かエンディングテーマ?)が重なってくるところイイですね。
最後の音の伸ばしで、指揮者さんが振り上げた指揮棒を回して溜めているとき、ああ、きっとこの指揮棒を下ろしたくないだろうなぁ……、と思いました。
アンコールが終わって、終演のアナウンスが入り客席明転。
それから奏者の人達が退場するとき、最後の一人が退場しきるまで拍手の勢いは一向に衰えませんでしたね。もちろん私も全力で拍手し続けました。
拍手が退場まで続くかどうかというのは、舞台上の撤収の空気でも変わるので一概には言えませんが、このときの拍手の力強さは「素晴らしい歌声をありがとう」「楽しいステージをありがとう」「まだ拍手し足りないぞ」という観客からのメッセージだったように感じました。
とても感動的な演奏会でしたね。
演奏や編曲、演出など色々と良い点はあるとは思うのですが、総括するならメンバー皆さんの情熱がまっすぐにぶつかってきて、そしてそれを観客も共有できた演奏会だったんじゃないかな、と。
決してメジャーでは無い合唱という編成。
決してメジャーでは無いゲーム音楽という題材。
歌の良さ、声の良さ、そしてゲーム音楽の良さを伝えよう。会場のお客様とこの楽しさを共有しよう。そういう気持ちを私は感じ取りました。
私はCCMのメンバーに知り合いが沢山いて、体験版、4star、コスモさん、リトルさん、TMMさん、GAMEバンドさんと、色々共演された演奏会を聴いてきているので受け取り方にも補正が掛かっていると思いますが、本当に本当に素敵なステージでした。
CCMの皆さん、素敵な時間をありがとうございました。これからの活躍も楽しみにしています。
書類の整理術
書類の整理方法の中で唯一継続している方法がある。
「透明のクリアホルダーを50枚くらい買っておいて、もったいないと思わずに何かある度に湯水のように使う」
という方法だ。
この方法は以前友人に教えてもらったのだが、昔の自分には「クリアホルダー=消耗品」という発想がなかった。
■コスト
100円ショップのペラペラのクリアホルダーだと単価が10円くらい。普通の文房具屋で買うともうちょっと高いが、100枚買い置いてもせいぜい1000〜2000円で済むのだから、書類が整理されるコストと思えば安いのでは。
「湯水のように」と書いたが、もちろん1日に10枚も20枚も使えという話ではない。書類をごちゃごちゃにしてしまうよりは、クリアホルダー数枚を惜しまずに使っていくということだ。
例えば、紙切れ1枚を入れるのにクリアホルダー1枚は勿体無いな…などと思って、「こっちの書類と一緒に入れておこう」などとやると、その1枚が後から探せなくなる。
あとで1枚の書類を探すために、どこに行ったか…と書類をひっくり返す時間は、結局10円よりも高くついてしまう。
■茶封筒は?
書類の整理に、「使用済みの茶封筒を使う」という方法を見かけたことがあるが、これはオススメできない。
- 取り出さないと中身が分からない
- 何が入っているかをマジックなどでいちいち記述するのは面倒
- 一度使ったら転用が効かない
などの問題がある。
ましてや新品ではなく使い終わった茶封筒を転用するなどの方法は、手間暇が掛かるばかりのでやらない。
色々なノベルティで貰う不透明/柄付きのクリアホルダーも勿体ないけど使わない。不透明だと、中身が分からないので後から検索するのが大変。
(気に入った絵柄のものを持ち歩き用や、特定の書類の保管用に使うのはあり)
■中身が見える
「中身を見える状態で保管しておく」ことは特に重要。例えるならWindowsで階層ごとに全てzipされてる中からいちいち解凍してファイルを探すのと、普通のフォルダを探すのどちらが楽かという話。(残念ながら現実世界にはzipビューワは存在しない)
■分類しない
中身が見える状態にしてあれば、あとは分類はせずに全部の書類を同じ場所で保管する。(『「超」整理法』の手法を参考)
「仕事・楽譜・家計・同人・ゼミ・etc…」のようにジャンル分けしようとすると破綻する。「同人」で使った「楽譜」はどっちにしまったっけ? などの「コウモリ問題」を生む。ジャンル分けされていなくても「全部見れば」いい。透明なんだから。
※コウモリ問題とは : 仕分け段階でコウモリを鳥類と哺乳類どちらに分類したか分からず、結局両方探さなくてはいけなくなる問題。
カラー付きの半透明クリアホルダーも売られていて「用途別」に分類できそうだがやらない。ホルダーが5色だとしたら、分類項目が6つになったら破綻する。あとから項目の統廃合するにも、全部の書類を取っ替え引っ替えでエラい時間がかかる。青のホルダーだけ買い足したくても、都合良く売ってない。透明1色にするのが最強。
アマチュア楽団運営の「ハードル」は上がりすぎないで欲しい話
アマチュア楽団の運営に関して、ここ数日、私の観測範囲上(主にtwitter)で議論が盛り上がっています。
背景には、2012年のコストスカイオーケストラの定期演奏会で文京シビックホールが定員オーバーになったのを始めとし、2013年になって、交響楽団「ワルプルギスの夜」(まどマギ)、名古屋ゲームミュージックアンサンブル(NGME)、ガーデンオーケストラ(FF8)の演奏会で、それぞれ客席定員オーバーが出て入場できなかった人が出るなど、ゲーム・アニメ系の演奏会の人気の高まりがあると思っています。
その流れを受けて、にわかに、ゲーム・アニメ系楽団の関係者や来場者の間で、運営面についての議論が活発になりました。
(単に私の周りに楽団関係者や運営面に協力している人が多いというだけのことなのですが)
このアマチュア楽団運営周りの談義で気になってることが一つあります。
私の心配し過ぎとも言えるのですが、議論が加速し過ぎて「楽団側のハードルがあがる」という流れにはなって欲しくないのです。
(※ちなみに誰かの議論を指して批難してるとかではなくて、私の観測範囲全体の空気感みたいなものを対象に話してますので、あしからず)
皆が運営周りに関して、色々な提案や解決策を語るのは良いことだと思います。ノウハウの共有、意識の醸成。有意義だと思います。他の楽団の将来の活動に役立つかもしれません。
ただ、「こんな方法が最高」「こうあるべき」などの意見ばかりが並べられる流れになってしまって、それが将来的にどこかの演奏会に対して
「対策を取っていないなんて…」
「これだけ問題になっているのに…」
「◯◯の楽団ではこうしていたのに…」
という形で、楽団に対して矛先が向かうような展開にはならないで欲しいなと思うのです。
というのは、アマチュア楽団がどこも事情が違うわけです。人員や金銭や時間にそれぞれ制約がある中で、余暇の趣味活動としてやっているわけです(本人達の本気度は別として)。
アマチュアの活動ですから、いくら理屈が分かっていても、演奏会の運営に掛けられる対策なんて限界があるわけです。
(例えばコンサートホール一つ抑えるのにも、1年前からいくつも予約抽選に参加して、ようやく候補の内の一つが取れるといった事情があるのです)
楽団の中の人達がより良い演奏会を目指すのは良いのですが、ここで楽団側も観客側もあまりにも「高いハードル」を求めすぎてしまうと、お互いに幸せなことにはならない気がしているんです。
楽しかったはずのアマチュア活動が、責任感と義務感とプレッシャーに潰されてしまう。そんなことにはなって欲しくないです。
そのためには、
「楽団側と観客側、それぞれがお互いの事情を汲み取って、広い心で」
という考え方が大切なのかなと思っています。
アマチュアの世界が上手く行くためには、こういうお互いを慮る気持ちはとても大切なことではないかなと思うのです。
#誤解されないように一応書いておきますと、「議論を止めましょう」という主張ではなくて、「議論は良いけど、『こうあるべき論』に偏っては欲しくないな」という主張です。
(※2013/05/20 22:57 ちょっと捕捉)
割と反響を頂けたので一つ捕捉です。
この話の流れ的には「楽団擁護」っぽくなってますが、それだけではなくて、たとえば観客の誰かが何か要望や批判を挙げたときに、それを「他の観客が寄ってたかって批判する」のもまた避けた方がいいと思ってます。
「強いコミュニティ」ではありがちな現象ですが、それでは排他的な狂信集団になってしまいかねません。
観客側もその音楽への思いが強いだけに、「色々言いたくなる」ことは良くあると思うのですよ。
楽団と観客の間だけでなく、観客同士の間でもお互いに広い心を持てるといいですよね、と。